GX LAB
コラム

蓄電池は停電時に何を何時間動かせる?計算のしかたと家電の目安

停電のとき、家庭用蓄電池でどの家電を何時間動かせるのかは、蓄電池の容量と家電の消費電力から計算できます。計算のしかた、家電の消費電力の目安、計算例と、実際には時間が変わる理由を整理しました。

公開日
Share
夜、住宅の外に設置された家庭用蓄電池と、窓越しにスタンドの明かりだけが灯るダイニング
目次

はじめに

蓄電池を検討するときに多い質問が、「停電したら、何を何時間使えるのか」です。答えは、蓄電池の容量と、使う家電の消費電力によって変わります。

このコラムでは、停電時に使える時間の計算のしかたと、家電の消費電力の目安、具体的な計算例を紹介します。あわせて、実際に使える時間が計算と変わる理由も整理します。

使える時間の計算のしかた

蓄電池で家電を動かせる時間は、次の式で目安を出せます。

  • 使える時間(時間)= 蓄電池の容量(Wh)÷ 使う家電の消費電力の合計(W)

蓄電池の容量はkWh(キロワット時)で表示されることが多いので、1kWh=1,000Whとして計算します。たとえば容量10kWhなら10,000Whです。

ここで使う容量は、カタログに大きく書かれた「定格容量」ではなく、実際に使える「実効容量」で計算するのがポイントです。蓄電池は電池を傷めないよう、ためた電気をすべて使い切らない制御がかかっているため、実効容量は定格容量より小さくなることが多くあります。

家電の消費電力の目安

京セラの解説では、家電の消費電力の目安として次の数字が示されています。

  • パソコン:45W
  • 冷蔵庫:300W
  • 洗濯機:450W
  • 電気ポット:800W
  • エアコン(10畳程度):1,000W
  • 電子レンジ:1,400W

実際の消費電力は、機種や使い方によって異なります。手元の家電の取扱説明書や本体の表示で確認するのが確実です。

計算例

ここでは、実効容量10kWhの蓄電池を使う場合を考えます(数字は京セラの目安を使った理論上の計算です)。

冷蔵庫とパソコンだけを使う場合

  • 消費電力の合計:300W+45W=345W
  • 使える時間:10,000Wh÷345W=約29時間

冷蔵庫で食品を守りながら、パソコンで情報を集めたり連絡を取ったりする使い方なら、1日以上もつ計算です。

エアコンも使う場合

  • 消費電力の合計:300W+45W+1,000W=1,345W
  • 使える時間:10,000Wh÷1,345W=約7.4時間

エアコンを加えると、使える時間は大きく短くなります。夏や冬の停電で冷暖房を使いたい場合は、容量に余裕を持たせるか、使う時間を決めて節約する工夫が必要です。

短い時間だけ使う家電の考え方

電気ポットや電子レンジのように、消費電力は大きくても短い時間しか使わない家電は、「使う時間」で考えます。使う電気の量は、消費電力(W)×使う時間(時間)で求められます。

  • 電気ポット(800W)を10分使う場合:800W×10/60時間=約133Wh
  • 電子レンジ(1,400W)を5分使う場合:1,400W×5/60時間=約117Wh

どちらも、実効容量10kWh(10,000Wh)の中では小さな量です。停電中でも、使う時間を短くすれば、お湯を沸かしたり食事を温めたりできます。

参考までに、見積もりサイトのソーラーパートナーズの調査では、2025年に導入された家庭用蓄電池の平均容量は12.25kWhでした。

実際の時間が計算と変わる理由

計算で出した時間は、あくまで目安です。実際には、次のような理由で時間が変わります。

  • 冷蔵庫は常に最大の電力を使うわけではない:冷蔵庫は庫内が冷えると運転を弱めるため、平均の消費電力は目安より小さくなることが多く、実際はもっと長く使える場合があります
  • 電気を変換するときのロスがある:蓄電池の電気を家電で使える形に変えるときに、一部の電力が失われます
  • 停電時点の残量:停電したときに蓄電池が満タンとは限りません。残量が少なければ、使える時間も短くなります
  • 太陽光で充電できるか:太陽光発電と組み合わせていれば、昼間に充電しながら使えるため、使える日数を延ばせます

時間だけでなく「出力」も確認する

停電時に何を使えるかは、容量だけでなく「出力」でも決まります。出力は、同時に使える電気の量の上限です。解説記事では、家庭用蓄電池の出力は1,500W〜3,000Wが一般的とされています。

たとえば出力が1,500Wの蓄電池では、電子レンジ(1,400W)を使っている間に、ほかの家電をあまり使えません。停電時に同時に使いたい家電の消費電力を合計し、出力の範囲に収まるかを確認しておきましょう。

停電に備えて考えておきたいこと

  • 停電時に必ず使いたい家電(冷蔵庫、照明、通信機器など)を決めておく
  • その家電の消費電力の合計から、必要な容量と出力を考える
  • 家全体で使える「全負荷型」か、一部の回路だけの「特定負荷型」かを確認する
  • 太陽光発電と組み合わせて、長引く停電にも備える

おわりに

蓄電池で停電時に家電を動かせる時間について、ポイントをまとめます。

  • 使える時間は「容量(Wh)÷消費電力の合計(W)」で目安を出せる
  • 容量は定格容量ではなく実効容量で考える
  • 実効容量10kWhなら、冷蔵庫とパソコンで約29時間、エアコンも使うと約7.4時間(理論上の計算)
  • 実際の時間は、冷蔵庫の運転の強弱や変換のロス、停電時の残量で変わる
  • 容量だけでなく、同時に使える出力も確認する

※ 本記事の計算は、家電の消費電力の目安を使った理論上の例です。実際に使える時間は、機器・使い方・停電時の残量によって異なります。

Share