マンションでEV充電、どう進める?管理組合の決め方と導入の流れ
分譲マンションで電気自動車(EV)の充電設備を付けるには、管理組合での合意づくりが欠かせません。国のマンション標準管理規約の改正で進めやすくなった決議の考え方、導入までの流れ、費用と補助金、よくある課題を整理しました。

目次
はじめに
電気自動車(EV)を検討するとき、マンションに住む人にとって大きな壁になるのが「どこで充電するか」です。戸建て住宅なら自宅の駐車場にコンセントを付ければ済みますが、分譲マンションでは、駐車場は住民みんなの共用の部分です。自分だけの判断で充電設備を付けることはできません。
このコラムでは、分譲マンションでEVの充電設備を導入するときの、管理組合での決め方、導入までの流れ、費用と補助金、よくある課題を整理します。
マンションの充電は「合意づくり」から
分譲マンションの駐車場は、区分所有者全員の共用の部分です。そのため、充電設備を付けるには、管理組合の総会で決議をとる必要があります。
これまでは、共用の部分に手を加える工事として、多くの賛成が必要になる「特別決議」が必要かどうかで迷うケースがありました。これが、マンションでEVの充電設備が広がりにくい理由の1つとされてきました。
普通決議で進めやすく
解説記事によると、国土交通省は2024年6月にマンション標準管理規約を改正し、充電設備の設置のうち、工事による加工の程度が小さい場合などは、過半数の賛成による「普通決議」で実施できると考えられることを明記しました。
標準管理規約は、各マンションが管理規約をつくるときのひな形です。改正によって、充電設備の導入の合意づくりが進めやすくなったと言えます。ただし、実際にどの決議が必要かは、工事の内容や、そのマンションの管理規約によって変わります。管理会社や専門家に確認しながら進めましょう。
導入までの流れ
分譲マンションで充電設備を導入するまでは、おおむね次のような流れで進みます。
- 1. ニーズを把握する:今EVに乗っている住民、これから乗る予定の住民がどれくらいいるかを調べる
- 2. 理事会で検討を始める:理事会に相談し、検討のテーマとして取り上げてもらう
- 3. 設置の場所と電気の容量を確認する:どこに設置できるか、その場所の電気の容量で足りるかを確認する
- 4. 事業者から提案を受ける:充電設備の事業者から、設置の方法、費用、運用の方法の提案を受ける
- 5. 総会で決議する:必要な決議をとる
- 6. 設置と運用の開始:工事をして、利用のルールを決めて運用を始める
費用と運用の方法
充電設備の導入には、機器の費用と工事の費用がかかります。事業者によっては、設備の費用を事業者が負担し、利用した住民が充電の料金を払うサービスもあります。管理組合の費用負担を抑えながら導入できる方法として、比べてみる価値があります。
運用の面では、次のような点を決めておく必要があります。
- 誰が、どの区画で使えるか(専用か、共用か)
- 充電の料金をどう精算するか
- 使わない住民との公平性をどう保つか
補助金について
国は、電気自動車の普及に向けて、充電設備の導入を支援する補助金を毎年度の予算で用意しています。2026年度(令和7年度補正)も、充電・充てん設備などの導入を支援する補助金が実施されています。マンションで使える区分や条件は、制度の公式情報で確認してください。
なお、2026年度に始まった「戸建て住宅の充電用コンセント」の補助(上限5万円)は、その名のとおり戸建て住宅が対象です。応募要領では、共同住宅や長屋は「戸建て住宅」に含まれないと定められているため、マンションでは使えません。
賃貸マンションや、設置が難しい場合は
賃貸のマンションやアパートに住んでいる場合は、充電設備を付けるかどうかを決めるのは建物のオーナーです。EVの購入を考えているなら、まずは管理会社やオーナーに、充電設備を付ける予定があるか、付けてもらえる可能性があるかを相談してみましょう。
分譲でも賃貸でも、すぐに自宅で充電できない場合は、外の充電設備を使う方法もあります。
- 勤務先の駐車場の充電設備を使う
- 商業施設や道の駅などにある充電設備を使う
- 近くの急速充電の設備を使う
ただし、外で充電する場合は、充電のたびに出かける手間や、待ち時間がかかることもあります。自宅で充電できる環境があるかどうかは、EVを快適に使えるかを大きく左右します。マンションで合意づくりを進める価値は、そこにあります。
よくある課題と考え方
- EVに乗っていない住民の理解:将来の資産価値や、EVに乗り換える住民が増えていく見通しを共有する
- 電気の容量が足りない:設置の台数を段階的に増やす、容量を管理できる設備を選ぶなど、事業者と相談する
- 機械式の駐車場:設置が難しい場合があるため、平置きの区画での設置や、別の方法を検討する
- 費用の負担:事業者が設備を負担するサービスや、補助金の活用を検討する
おわりに
マンションでEVの充電設備を導入するポイントをまとめます。
- 分譲マンションの駐車場は共用の部分のため、管理組合での決議が必要
- 2024年のマンション標準管理規約の改正で、加工の程度が小さい場合などは普通決議で進めやすくなった
- ニーズの把握から総会の決議、運用のルールづくりまで、段階を踏んで進める
- 充電設備の補助金はあるが、戸建て向けのコンセントの補助はマンションでは使えない
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。決議の要件や補助金の条件は、管理規約や制度の公式情報をご確認ください。