災害に強い蓄電池の選び方|全負荷型と特定負荷型の違いと選ぶポイント
停電に備えて蓄電池を選ぶなら、まず決めたいのが「全負荷型」か「特定負荷型」かです。停電時に使える範囲、価格の差、同時に使える電気の量など、2つの方式の違いと、災害への備えという視点での選び方を整理しました。

目次
はじめに
蓄電池を選ぶ理由として、「停電への備え」を挙げる方は少なくありません。災害への備えという視点で蓄電池を選ぶとき、最初に決めておきたいのが「全負荷型」か「特定負荷型」かという方式の違いです。
この違いによって、停電したときに家の中のどこで電気を使えるかが大きく変わります。このコラムでは、2つの方式の違いと価格の差、そして災害に備えて選ぶときのポイントを整理します。
全負荷型と特定負荷型の違い
「負荷」とは、電気を使う機器や回路のことです。蓄電池の方式は、停電したときにどこまで電気を送れるかで2つに分かれます。
全負荷型
停電したときに、家全体の回路に電気を送れる方式です。どの部屋のコンセントでも、ふだんに近い感覚で電気を使えます。
特定負荷型
停電したときに、あらかじめ決めておいた一部の回路だけに電気を送る方式です。たとえば「冷蔵庫のあるキッチン」「リビングの照明とコンセント」など、停電時に必要な場所を事前に選んでおきます。
蓄電池・太陽光の情報サイト「エネマネックス」の解説でも、全負荷型は家全体をバックアップでき、特定負荷型は使えるエリアが限られるぶん価格が安いと整理されています。
価格の差
太陽光・蓄電池の見積もりサイトを運営するソーラーパートナーズの調査(2025年の導入実績)では、同じ容量帯で比べると、全負荷型のほうが特定負荷型より高くなっています(本体と工事費の合計、税込)。
- 9〜10kWh:全負荷型 155万〜270万円、特定負荷型 150万〜242万円
- 12〜13kWh:全負荷型 165万〜293万円、特定負荷型 149万〜223万円
同じ調査では、全負荷型が需要の約9割を占めています。価格は高くても、停電時に家全体で電気を使えることを重視する家庭が多いことがうかがえます。
災害への備えで比べる
全負荷型が向いている家庭
- 停電中も、家の中のいろいろな場所で電気を使いたい
- 夏や冬の停電に備えて、エアコンを使いたい
- 在宅避難を考えていて、できるだけふだんに近い生活を続けたい
- 家族が多く、使う部屋や家電が分散している
特定負荷型が向いている家庭
- 停電中は、冷蔵庫・照明・スマートフォンの充電など、最低限が使えればよい
- 導入の費用をできるだけ抑えたい
- 使う場所を限定して、蓄電池の電気を長くもたせたい
特定負荷型でも、どの回路を選ぶかしだいで停電時の使い勝手は大きく変わります。冷蔵庫、照明、通信機器、そしてトイレなど電気が必要な設備がどの回路にあるかを確認して選びましょう。
方式と一緒に確認したい3つのこと
1. 出力(同時に使える電気の量)
停電時に何を使えるかは、方式だけでなく「出力」でも決まります。家庭用蓄電池の出力は1,500W〜3,000Wが一般的とされています。全負荷型で家全体に電気を送れても、出力が小さいと、エアコンと電子レンジを同時に使うといったことはできません。
2. 200Vの機器を使えるか
IHクッキングヒーターや、エアコンの一部、エコキュートなどは200Vの電気を使います。停電時にこうした機器を使えるかどうかは、機種によって異なります。オール電化の家庭では、停電時に200V機器が使えるかどうかを必ず確認しましょう。
3. 容量(どれくらいの時間もつか)
停電時に使える時間は、「容量(Wh)÷使う家電の消費電力の合計(W)」で目安を出せます。全負荷型で家全体の電気を使えば、そのぶん電気の減りも早くなります。使える範囲が広いほど、容量にも余裕を持たせることが大切です。
見積もりの前にやっておきたいこと
方式を決めるには、停電時の暮らし方を具体的に考えておくことが近道です。見積もりの前に、次のことを家族で話し合っておきましょう。
- 停電時に絶対に使いたい家電を書き出す:冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電、Wi-Fiのルーター、医療機器など
- それぞれの家電がどの部屋にあるか確認する:特定負荷型を選ぶ場合は、この情報をもとに電気を送る回路を決めます
- 季節ごとの困りごとを考える:夏の暑さや冬の寒さで、エアコンや暖房がどれだけ必要か
- 家族の状況を考える:小さな子どもや高齢の家族がいるか、在宅避難を考えているか
こうした情報を施工会社に伝えると、全負荷型と特定負荷型のどちらが合うか、特定負荷型ならどの回路を選ぶべきかを、具体的に提案してもらいやすくなります。
太陽光と組み合わせるとさらに安心
停電が長引く場合に備えるなら、太陽光発電との組み合わせも考えましょう。昼間に太陽光で発電した電気を使いながら、余った電気を蓄電池にため、夜にその電気を使うことで、晴れの日が続けば数日にわたる停電にも対応しやすくなります。
おわりに
災害に強い蓄電池を選ぶポイントをまとめます。
- 全負荷型は停電時に家全体で電気を使え、特定負荷型は一部の回路だけに電気を送る
- 全負荷型のほうが高いが、需要の約9割は全負荷型
- 方式に加えて、出力・200V機器の可否・容量もあわせて確認する
- 太陽光と組み合わせると、長引く停電にも備えやすい
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。停電時の動き方や使える機器は製品によって異なるため、必ず各製品の仕様をご確認ください。