2026年度の省エネ補助金、種類と補助率|中小企業が押さえたい全体像
工場や事業所の省エネ設備の導入に使える国の「省エネ・非化石転換補助金」は、2つの申請の型と4つの事業区分に分かれ、補助率は3分の1から3分の2まで幅があります。2026年度の全体像と補助率、中小企業の扱いを整理しました。

目次
はじめに
電気代や燃料費の高止まりが続く中、工場や事業所の省エネ設備への更新を考える中小企業は少なくありません。その費用を支えてくれるのが、国の「省エネ・非化石転換補助金」です。
ただ、この補助金は申請の型や事業区分がいくつもあり、「自社はどれを使えばよいのか」が分かりにくい制度でもあります。このコラムでは、2026年度の補助金の全体像と、区分ごとの補助率、中小企業の扱いを整理します。
省エネ・非化石転換補助金とは
省エネ・非化石転換補助金は、工場や事業所の省エネや、化石燃料から電気などへの転換を進める設備投資を支援する国の補助金です。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行しており、2026年版の特設サイトで公募の情報を公開しています。
2つの申請の型
補助金ポータルの解説によると、申請の型は大きく2つに分かれます。
- 工場・事業場型:事業所全体の省エネの計画で申請する。支援の期間は最大4年
- 設備単位型:導入する設備ごとに申請する。支援の期間は最大2年
事業所全体で大がかりな省エネに取り組むなら工場・事業場型、特定の設備を高効率なものに替えるなら設備単位型、というのが基本の考え方です。
4つの事業区分
申請の型の中は、さらに4つの事業区分に分かれています。
- (Ⅰ)工場・事業場型:事業所全体の省エネ
- (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型:化石燃料を使う設備から、電気や脱炭素の燃料を使う設備への転換
- (Ⅲ)設備単位型:高効率な設備への更新。2026年度は「GX設備単位型」も設けられた
- (Ⅳ)エネルギー需要最適化型:エネルギー管理システム(EMS)を使った省エネ
区分ごとの補助率と上限
補助金ポータルの解説とSIIの公式サイトをもとに、中小企業の場合の主な補助率と上限を整理します。
- (Ⅰ)先進枠:3分の2以内。上限は単年度15億円(非化石の転換を伴う場合は20億円)
- (Ⅰ)一般枠:2分の1以内。上限は同上
- (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(更新):2分の1以内。上限3億円(電化の事業は5億円)
- (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(新設):5分の1以内。上限3億円
- (Ⅲ)設備単位型(従来枠):3分の1以内。上限1億円
- (Ⅲ)GX設備単位型(トップ性能枠・更新):2分の1以内。上限3億円
- (Ⅳ)エネルギー需要最適化型:2分の1以内(大企業は3分の1以内)。上限1億円
補助金ポータルの解説では、下限額は設備単位型で30万円、工場・事業場型で100万円とされています。小さな設備の更新でも、30万円以上の補助になる規模なら設備単位型で申請できる可能性があります。
中小企業の扱い
補助率は、中小企業のほうが大企業より高く設定されている区分があります。補助金ポータルの解説によると、中小企業かどうかは資本金または従業員数で判定し、製造業の場合は資本金3億円以下または従業員300人以下が目安です。業種によって基準が異なるため、自社が中小企業にあたるかを確認しておきましょう。
2026年度の公募のスケジュール
SIIの2026年版特設サイトによると、設備単位型などの3次公募は8月20日から9月28日まで行われ、4次公募は10月上旬から実施する予定とされています。また、4次公募からは、GX設備単位型の「トップ性能枠」の対象設備に、産業用ヒートポンプの種別と高効率コージェネレーションが追加されます。
公募には期間があり、期間を過ぎると次の公募まで待つ必要があります。設備の更新を考えている場合は、公募の予定から逆算して準備を始めましょう。
申請の前に準備したいこと
公募の期間は1か月ほどと短いため、公募が始まってから準備するのでは間に合わないことがあります。次のような準備を早めに進めておきましょう。
- 今の設備の使用状況を把握する:更新したい設備の年数、エネルギーの使用量、稼働時間などを整理する
- 省エネの効果を見積もる:新しい設備に替えたときに、どれだけエネルギーが減るかを計算する。区分によっては省エネの効果の水準が要件になる
- 見積もりを取る:設備と工事の見積もりを取り、補助の対象になる経費を確認する
- 公募要領を読む:対象の設備、要件、必要な書類を公募要領で確認する
- スケジュールを確認する:発注や工事の時期、事業の完了の期限が、補助金の条件に合うかを確認する
多くの国の補助金と同じく、交付の決定より前に発注や契約をすると補助の対象から外れるおそれがあります。設備メーカーや施工会社と、補助金を使う前提で段取りを決めておくと安心です。
どの区分を選ぶか
- 事業所全体で大きな省エネに取り組む → (Ⅰ)工場・事業場型
- ボイラーなどを電化・燃料転換する → (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
- 空調や照明など特定の設備を高効率なものに替える → (Ⅲ)設備単位型
- エネルギー管理システムを入れて全体を最適化する → (Ⅳ)エネルギー需要最適化型
おわりに
2026年度の省エネ補助金のポイントをまとめます。
- 申請の型は「工場・事業場型」と「設備単位型」の2つ
- 事業区分はⅠ〜Ⅳの4つで、補助率は区分によって3分の1から3分の2まで幅がある
- 中小企業は補助率が高く設定されている区分がある
- 2026年度は、3次公募が9月28日まで、4次公募は10月上旬から予定
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。補助率や公募の日程は、必ずSIIの公式情報・公募要領をご確認ください。