長期停電に備える蓄電池+太陽光の組み合わせ|容量と機器の選び方
停電が数日続くと、蓄電池だけでは電気が足りなくなります。長い停電に備えるカギは、昼に太陽光で充電し、夜に蓄電池を使う「1日の電気の収支」を回せるかどうかです。太陽光と蓄電池の容量の考え方、ハイブリッド型などの機器の選び方を整理しました。

目次
はじめに
大きな地震や台風のあと、停電が数日にわたって続くことがあります。蓄電池があれば停電の直後は電気を使えますが、蓄電池にためた電気には限りがあります。停電が長引くと、いずれ使い切ってしまいます。
長い停電に備えるうえで大切なのは、蓄電池の電気を「使い切らない」仕組みをつくることです。このコラムでは、太陽光と蓄電池を組み合わせて長い停電に備えるときの、容量の考え方と機器の選び方を整理します。
長い停電のカギは「1日の電気の収支」
蓄電池だけの場合、停電中に電気を補う手段がありません。一方、太陽光と組み合わせれば、晴れた日の昼に太陽光の電気で家の電気をまかないながら蓄電池を充電し、夜にその電気を使う、というサイクルを回せます。
つまり、長い停電を乗り切れるかどうかは、「昼に太陽光でつくる電気」が「1日に使う電気」をまかなえるかという、1日の電気の収支で決まります。
太陽光でつくれる電気の目安
京セラの解説によると、太陽光発電協会の目安では、太陽光パネル1kWあたりの年間の発電量は約1,000kWhです。
たとえば5kWの太陽光なら、年間で約5,000kWh、1日の平均で約13.7kWhになります(目安の数字による編集部の計算)。ただし、これはあくまで1年の平均です。冬や、曇りや雨の日は発電量が大きく減ります。停電がいつ起きるかは選べないため、発電が少ない日があることも前提に考えましょう。
組み合わせの考え方
蓄電池の容量:夜をしのげるか
夜は太陽光が発電しないため、夜に使う電気は蓄電池でまかないます。停電中に使う家電を決め、夜から翌朝までに必要な電気の量を見積もり、それを上回る容量の蓄電池を選ぶのが基本です。
太陽光の容量:昼に充電しきれるか
晴れた日の昼に、家で使う電気をまかないながら、蓄電池を十分に充電できるだけの太陽光の容量があるかを確認します。蓄電池の容量に対して太陽光が小さいと、せっかくの蓄電池を満たしきれません。
たとえば、晴れた日に5kWの太陽光が1日の平均並みの約13.7kWhを発電するとします。昼に家で3kWhを使えば、蓄電池に回せるのは約10kWhです。10kWhの蓄電池ならちょうど満たせる計算ですが、発電の少ない日は満たしきれません(目安の数字による編集部の計算)。
使う電気を絞る
停電中は、平常時と同じように電気を使うことはできません。冷蔵庫、照明、スマートフォンの充電、情報を得るためのテレビやラジオなど、優先して使う家電を決めておくことが、収支を回すための一番の近道です。
機器の選び方
ハイブリッド型か単機能型か
蓄電池には、太陽光と蓄電池のパワーコンディショナ(電気を変換する機器)を1台にまとめた「ハイブリッド型」と、それぞれが別になっている「単機能型」があります。蓄電池の専門店のミライでんちの解説によると、ハイブリッド型は太陽光の電気を直流のまま蓄電池に充電できるため変換のロスが少なく、単機能型は充電のときに直流から交流、交流から直流への二重の変換が起きてロスが生じます。
停電中に太陽光の電気で蓄電池を充電できるかどうか、どのくらいの出力で使えるかは、機種や配線によって変わります。長い停電に備えるなら、「停電中に太陽光で蓄電池を充電できるか」を施工会社に必ず確認しましょう。
全負荷型か特定負荷型か
停電中に家全体へ電気を送れる「全負荷型」と、あらかじめ決めた部屋や回路だけに送る「特定負荷型」があります。オムロンの解説では、全負荷型はエアコンやIHクッキングヒーターなどの200Vの家電にも対応するとされています。ただし、家全体で電気を使えるぶん、蓄電池の電気の減りも早くなります。長い停電では、全負荷型でも使う家電を絞ることが大切です。
太陽光だけのときの「自立運転」
蓄電池がない場合でも、多くの太陽光には、停電時に専用のコンセントから電気を使える「自立運転」の機能があります。ただし、解説記事では出力は最大1,500Wが標準的な仕様とされ、夜や雨の日は使えません。蓄電池を組み合わせることで、夜にも電気を使えるようになります。
後付けのときの注意
すでに太陽光を設置している家に蓄電池を後付けする場合、ハイブリッド型を選ぶと、今の太陽光のパワーコンディショナの交換が必要になることがあります。ミライでんちの解説では、今のパワーコンディショナの機種、年数、メーカーによっては、組み合わせに問題が出ることもあるとされています。設置から年数がたっている場合は、パワーコンディショナの交換の時期とあわせて検討するとよいでしょう。
おわりに
長期停電に備える蓄電池+太陽光の組み合わせのポイントをまとめます。
- 長い停電のカギは、昼に太陽光で充電し夜に蓄電池を使う「1日の電気の収支」を回せるか
- 太陽光は1kWあたり年間約1,000kWhが目安。冬や悪天候の日は大きく減る
- 蓄電池は夜をしのげる容量、太陽光は昼に充電しきれる容量を目安に組み合わせる
- 停電中に太陽光で蓄電池を充電できるかを、機器を選ぶ前に必ず確認する
※ 本記事の計算例は目安の数字による試算です。実際の発電量や使える電気の量は、設備や天候、使い方によって異なります。