ピークカットで基本料金を下げる|高圧の事業所が知っておきたいデマンドの仕組み
高圧で電気を契約する事業所では、電気を最も多く使った30分の値が、その後1年間の基本料金を左右することがあります。契約電力と「デマンド」の仕組み、ピークカットで基本料金を下げる方法、蓄電池や太陽光の生かし方を整理しました。

目次
はじめに
工場や店舗、事務所などで高圧の電気を契約している事業所では、電気代のうち「基本料金」が大きな割合を占めることがあります。そして、その基本料金は、ある月にたった30分だけ電気を多く使っただけで、その後1年間にわたって高くなってしまう場合があります。
このコラムでは、高圧の契約電力と「デマンド」の仕組み、電気の使用のピークを抑える「ピークカット」で基本料金を下げる方法、そして蓄電池や太陽光の生かし方を整理します。
高圧の基本料金の決まり方
解説記事によると、高圧の電気の基本料金は、おおむね次の式で決まります。
- 基本料金 = 基本料金の単価 × 契約電力 × 力率による割引・割増
ここで大切なのが「契約電力」です。契約電力が大きいほど、基本料金は高くなります。
契約電力は「最大デマンド」で決まる
高圧の契約の多くでは、契約電力が、実際の電気の使い方をもとに決まる「実量制」がとられています。解説記事によると、実量制では、契約電力は、当月を含む過去1年間の各月の「最大需要電力(最大デマンド)」のうち、最も大きい値になります。
最大デマンドとは、30分ごとの平均の使用電力のうち、その月で最も大きい値のことです。電気の使用量は30分ごとに計測され、1日に48回の値が記録されます。
たった30分が1年間に響く
この仕組みには、注意すべき点があります。ある月に、たった30分だけでも電気を多く使って最大デマンドが上がると、その値が契約電力になり、その後1年間は高い基本料金を払い続けることになるのです。
たとえば、夏の暑い日に、エアコンと生産設備を一斉に動かして一時的に電気の使用が跳ね上がると、その30分の値が、翌年の同じ時期まで基本料金を押し上げることになります。
ピークカットとは
ピークカットは、電気の使用のピーク(最大デマンド)を抑える取り組みです。最大デマンドを下げれば、契約電力が下がり、基本料金も下がります。
たとえば、契約電力が100kWから80kWに下がった場合、基本料金は「基本料金の単価×20kW」の分、毎月下がることになります(力率の割引・割増は同じとした場合の編集部の計算)。これが1年間続けば、単価×20kW×12か月分の削減になります。
ピークカットの主な方法
1. 使用状況を「見える化」する
まずは、いつ、どの設備で電気を多く使っているかを知ることが出発点です。デマンドを監視する装置を設置すると、30分ごとの使用状況を確認でき、ピークが近づいたときに警報を出すこともできます。
2. 機器の運転の時間をずらす
電気を多く使う機器を同時に動かさないよう、運転の時間をずらします。
- 始業時にエアコンや生産設備を一斉に立ち上げず、順番に起動する
- 電気を多く使う作業を、ほかの機器の使用が少ない時間帯に移す
- 空調の設定温度を見直し、ピーク時の負荷を下げる
3. 蓄電池でピークを削る
電気の使用が少ない時間に蓄電池を充電し、ピークの時間に放電すれば、電力会社から買う電気のピークを抑えられます。機器の運転を変えずにピークカットができるのが、蓄電池の強みです。
4. 太陽光でピーク時の購入を減らす
昼間にピークが出る事業所では、太陽光発電の電気を使うことで、電力会社から買う電気のピークを下げられる場合があります。ただし、天気によって発電量が変わるため、曇りや雨の日のピークにも備える必要があります。蓄電池と組み合わせると、より確実にピークを抑えられます。
容量拠出金への備えにもなる
2024年度から、将来の電力の供給力を確保するための費用である「容量拠出金」の負担が始まっています。解説記事では、容量拠出金はkW(最大需要)に応じて転嫁されるため、デマンドの削減が直接効くと指摘されています。容量拠出金のもとになる容量市場の仕組みは、GX LAB の「容量市場とは?『将来発電できる力』に値段がつく仕組み」で解説しています。
取り組みの進め方
- 過去1年の月ごとの最大デマンドと、それが出た日時を確認する
- ピークが出た原因(どの設備、どんな作業)を特定する
- 運転の時間をずらすなど、費用をかけずにできることから始める
- 効果が足りなければ、デマンドの監視装置や蓄電池の導入を検討する
蓄電池でピークを削る場合は、削りたいピークの大きさから必要な出力(kW)を、ピークが続く時間から必要な容量(kWh)を考えます。ピークが短い時間に集中している事業所ほど、小さめの容量でも効果を出しやすくなります。
おわりに
ピークカットで基本料金を下げるポイントをまとめます。
- 高圧の基本料金は、契約電力の大きさで決まる
- 実量制では、契約電力は当月を含む過去1年の最大デマンド(30分平均の最大値)で決まる
- たった30分のピークが、その後1年間の基本料金に響く
- 見える化、運転の時間のずらし、蓄電池、太陽光でピークを抑える
- デマンドの削減は、容量拠出金の負担への備えにもなる
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。契約電力の決まり方や料金の詳細は、契約している電力会社にご確認ください。