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コラム

事業所の太陽光が卒FITを迎えたら|余った電気の使い道と選び方

事業所の屋根などに設置した太陽光も、固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終わると「卒FIT」を迎えます。卒FIT後に余った電気の使い道として、自家消費の拡大、売電先の選び直し、環境価値の活用の3つの方向と、選ぶときの考え方を整理しました。

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屋根一面に太陽光パネルを設置した事業所の建物。開いたシャッターの奥に作業場が見える
目次

はじめに

「卒FIT」という言葉は、住宅の太陽光の話として語られることが多いですが、事業所の屋根などに設置した太陽光にも関わる話です。固定価格買取制度(FIT)による買取期間が終わると、事業用の太陽光も、決められた価格で売電できる期間が終わります。

このコラムでは、事業所の太陽光が卒FITを迎えたあと、余った電気をどう生かすかについて、3つの方向と、選ぶときの考え方を整理します。

事業用の太陽光の卒FITはいつか

FITでは、太陽光の規模によって買取期間が異なります。住宅用(10kW未満)の買取期間が10年であるのに対し、事業用(10kW以上)の太陽光は、一般に買取期間が20年です。

事業用の太陽光の導入が大きく進んだのは、FITが始まった2012年度以降です。20年の買取期間を考えると、事業用の太陽光の卒FITは、2030年代に入ってから本格的に増えていくことになります。まだ先の話と思うかもしれませんが、設備の更新や使い道の検討には時間がかかるため、早めに考えておくことが大切です。

卒FIT後に変わること

卒FITを迎えると、それまで固定の価格で売れていた電気の扱いが、次のように変わります。

  • 決められた価格での売電は終わる
  • 余った電気を売る場合は、売り先と価格を自分で選ぶ必要がある
  • 何もしなければ、条件の悪い売り方になったり、電気を生かしきれなかったりするおそれがある

卒FIT後は、「どこにいくらで売るか」「そもそも売るか、使うか」を、事業者自身が判断する段階に入ります。

余った電気の3つの使い道

1. 自家消費を増やす

卒FIT後の売電価格は、FITの期間中より下がるのが一般的です。売るより、事業所で使って電力会社から買う電気を減らすほうが、得になりやすくなります。

  • 蓄電池を導入し、昼の余った電気を夕方や夜に回す
  • 電気を多く使う作業や機器の運転を、太陽光が発電する昼間に寄せる
  • 燃料を使う設備を電化し、太陽光の電気で動かす

2. 売電先を選び直す

売電を続ける場合は、売り先を選ぶことになります。小売電気事業者などが、卒FIT後の電気の買取プランを用意しています。電気の卸売の市場の価格を反映して買取価格が決まるプランもあり、市場の仕組みを知っておくと比較しやすくなります。卸売の市場については、GX LAB の「卸電力市場とは?蓄電池が『安く買って高く売る』仕組み」で解説しています。

3. 環境価値を生かす

卒FIT後の太陽光の電気には、「再生可能エネルギーでつくられた」という環境価値があります。関西電力の解説によると、非化石証書のうち「非FIT非化石証書(再エネ指定)」は、卒FITの発電設備などが由来の証書です。

また、自家消費を増やした場合は、その削減分をJ-クレジットにできる場合もあります。ただし、太陽光のJ-クレジットは原則として自家消費による削減が対象で、どの方法論が使えるかは設備や事業の形によって異なります。GX LAB を運営するFit Founderは、J-クレジットの創出・販売を手がけるバイウィルと連携し、太陽光発電設備を導入した法人にもプログラム型のJ-クレジット創出プロジェクトへの参加を案内しています(バイウィルとの連携についてのニュース)。

住宅の卒FITとの違い

事業所の卒FITは、住宅の卒FITと考え方は似ていますが、いくつか違いがあります。

  • 発電の規模が大きい:住宅用より設備の容量が大きいことが多く、使い道の選び方による金額の差も大きくなる
  • 電気を使う時間が事業によって決まる:工場や店舗の稼働時間によって、自家消費できる量が大きく変わる
  • 脱炭素の説明にも使える:自家消費した再エネは、電力会社から買う電気に伴う排出(Scope2)を減らす取り組みとして、取引先への説明にも使える

住宅の卒FITでも「売るより使う」が基本の考え方になりつつあります。その背景は、GX LAB の「“売る”より“使う”へ。自家消費という発想転換」で解説しています。事業所ではさらに、稼働の時間や脱炭素の目標も含めて判断することが大切です。

選ぶときの考え方

3つの使い道は、どれか1つを選ぶのではなく、組み合わせて考えるのが現実的です。

  • 昼間に電気を多く使う事業所:まず自家消費を最大にし、残りを売る
  • 休日や昼間の稼働が少ない事業所:蓄電池で余りを回すか、売電先の条件を比べる
  • 取引先から再エネの使用を求められている事業所:自家消費で使った再エネを、脱炭素の取り組みとして説明できるよう整理しておく

卒FITの前に確認したいこと

  • 自社の太陽光の買取期間が、いつ終わるか
  • パネルやパワーコンディショナの状態と、更新の時期
  • 事業所の電気の使い方(昼と夜、平日と休日)
  • 蓄電池の導入や電化の計画
  • 売電先の候補と、それぞれの条件

おわりに

事業所の太陽光の卒FITについて、ポイントをまとめます。

  • 事業用の太陽光の買取期間は一般に20年で、卒FITは2030年代に本格化する
  • 卒FIT後は、売り先と価格を自分で選ぶ必要がある
  • 使い道は、自家消費の拡大、売電先の選び直し、環境価値の活用の3つ
  • 自家消費を最大にし、残りを売る、という組み合わせが基本

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の詳細は、資源エネルギー庁の公式情報をご確認ください。

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