和歌山県橋本市と紀陽銀行・バイウィルが連携協定 LED設備からJ-クレジット創出を検討
和歌山県橋本市、紀陽銀行、バイウィルの3者が、環境価値事業などに関する連携協定を結びました。2030年度に51%削減という市の目標と、LED設備から始めるJ-クレジットの構想を解説します。

目次
和歌山県橋本市、株式会社紀陽銀行、株式会社バイウィルの3者が、2026年7月9日に「橋本市の持続可能な地域社会の実現に向けた環境価値事業等に関する連携協定」を締結しました。締結式は橋本市役所で行われ、7月13日にバイウィルが発表しています。
画像出典元:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-07-13-2)
3者は、J-クレジットをはじめとする環境価値の創出・流通や、新しいビジネスモデルづくりに取り組みます。J-クレジットは、市のLED設備から始めることを検討しています。
この記事では、橋本市が掲げる削減目標と、協定がその目標にどうかかわるのかを見ていきます。
協定のポイント
- 締結日:2026年7月9日(橋本市役所で締結式)
- 連携先:和歌山県橋本市(市長:平木哲朗氏)、株式会社紀陽銀行、株式会社バイウィル
- 目的:地域でのカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの実現
- 最初の取り組み:LED設備の導入からJ-クレジットの創出を検討
協力する分野を言い換えると、次のとおりです。
- 環境価値に関する情報・サービス・ノウハウを提供する
- 環境価値を使った新しいビジネスモデルをつくる
- そのほか、協定の目的に役立つと当事者が認めたことに取り組む
2030年度に51%削減という目標
橋本市は、はっきりとした数値目標を掲げています。
橋本市は、2023年5月に、2030年度末までに二酸化炭素排出量を2021年度(基準年度)比で2030年度(目標年度)に51%削減することを目標として掲げています。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-07-13-2)
2021年度と比べて、2030年度にCO₂排出量をほぼ半分にする目標です。実現に向けて、市は太陽光発電設備や、給湯・空調へのヒートポンプの導入に取り組んでいます。市の事務・事業を対象にした「第3次 橋本市地球温暖化防止実行計画(事務事業編)」もつくられています。
目標年度の2030年度まで、残りは数年です。設備の更新を進めるだけでなく、その削減効果をJ-クレジットという価値に変えられれば、脱炭素にかかるお金の一部を取り戻す手段にもなります。
LED設備から始める理由
橋本市は、J-クレジットの創出をLED設備の導入から始めることを検討しており、その後はほかの方法論にも広げる想定です。
LEDから始める理由としては、次のような点が考えられます。
- 削減量を示しやすい:入れ替え前後の消費電力を比べやすく、どれだけ減ったかを説明しやすい
- 施設の数が多い:庁舎や学校、公民館など、自治体は照明を使う施設を多く持っている
- すでに進めている更新と重なる:省エネ化の一環として、LEDへの更新を進めている自治体は少なくない
バイウィルは、プロジェクトの登録・申請からモニタリング、クレジットの販売までを支援します。販売では紀陽銀行とも協力し、つくったクレジットを地域の中で使う「地産地消」で、橋本市をはじめとする地域の脱炭素を進めるとしています。
紀陽銀行とのつながり
今回の協定も、地元の銀行がきっかけをつくりました。
また、紀陽銀行とバイウィルは2024年3月に「カーボンクレジットに関する連携協定」を締結し、地域の脱炭素をともに目指してきました。今回も紀陽銀行から橋本市へバイウィルが紹介されたことで、本連携協定に至りました。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-07-13-2)
発表の文中に「今回も」とあるとおり、紀陽銀行はこれまでも地域でバイウィルとの橋渡しをしてきたことがうかがえます。銀行とバイウィルの間で先に協定を結び、その関係を生かして自治体へつなぐ。地域の金融機関が、自治体の脱炭素の入口になる流れです。
LEDから始める自治体の協定
LED設備からJ-クレジットの創出を検討する自治体は、ほかにもあります。
- 新潟県糸魚川市:市の事務事業での排出ゼロを目指す計画を背景に、バイウィルと協定(糸魚川市の連携協定)
- 広島県安芸高田市:アイリスオーヤマを加えた3者で協定。今後導入するLEDのクレジット創出の可能性も調査(安芸高田市の連携協定)
- 和歌山県橋本市(今回):2030年度に51%削減という数値目標を背景に、紀陽銀行を加えた3者で協定
どの自治体も、まず身近な設備であるLEDから始め、その後ほかの方法へ広げる道筋を描いています。
ほかの自治体が参考にできること
- 数値目標とつなげる:削減目標を持つ自治体は、クレジットの取り組みを、目標に向けた設備更新とあわせて考える
- 身近な設備から始める:LEDのように削減量を示しやすい設備から始め、手続きの流れをつかむ
- 地元の銀行とのつながりを生かす:銀行が支援事業者と協定を結んでいれば、その関係を通じて相談しやすい
- 売り先まで考える:つくったクレジットを地域の企業に使ってもらう「地産地消」を、銀行と一緒に考える
まとめ
- 和歌山県橋本市、紀陽銀行、バイウィルの3者が、2026年7月9日に環境価値事業などに関する連携協定を結んだ
- 橋本市は、2030年度にCO₂排出量を2021年度比で51%削減する目標を掲げている
- J-クレジットは、LED設備の導入から始めることを検討し、その後ほかの方法論にも広げる想定
- 紀陽銀行とバイウィルの協定がきっかけとなり、販売でも両者が協力して「地産地消」を進める
2030年度の目標に向けて、橋本市がLEDから始めるJ-クレジットの取り組みをどう進めていくのか、今後の動きに注目です。
出典・参考
- 株式会社バイウィル「和歌山県橋本市、紀陽銀行、バイウィルが『橋本市の持続可能な地域社会の実現に向けた環境価値事業等に関する連携協定』を締結」(2026年7月13日公表)
- 橋本市「橋本市地球温暖化防止実行計画」
- 橋本市「第3次 橋本市地球温暖化防止実行計画(事務事業編)」