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鹿児島県出水市の森林J-クレジット、プロジェクト登録が完了 8年間で3万1,084t-CO2の吸収を見込む

鹿児島県出水市が管理する823.91haの森林が、J-クレジット制度のプロジェクトとして正式登録されました。地元の銀行と損害保険会社がきっかけをつくった4者の連携と、発行までの道のりを解説します。

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出水市が管理する森林。海沿いに広がる緑の山の斜面を、水面越しに望んだ風景
目次

鹿児島県出水市とバイウィルが進めてきた森林J-クレジットのプロジェクトが、第69回J-クレジット制度認証委員会で、国の制度に正式に登録されました。2026年9月15日にバイウィルが発表しています。

画像出典元:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-09-15)

このプロジェクトは、三井住友海上火災保険株式会社と株式会社鹿児島銀行の取り組みから始まりました。出水市、三井住友海上、鹿児島銀行、バイウィルの4者で、今後もクレジットの創出と販売を進めるとしています。

同じ認証委員会では、秋田県由利本荘市の森林プロジェクトも登録されています(由利本荘市の森林J-クレジット)。この記事では、出水市のプロジェクトの中身と、金融機関がきっかけをつくった連携の形を見ていきます。

プロジェクトのポイント

  • 自治体:鹿児島県出水市(市長:椎木伸一氏)
  • 連携先:三井住友海上火災保険株式会社、株式会社鹿児島銀行、株式会社バイウィル
  • 対象:出水市が管理する森林
  • 方法論:森林経営活動(適切な森林管理によるCO₂吸収量の増加を算定する方法)
  • プロジェクトの種類:通常型
  • 面積:823.91ha
  • 吸収見込み量:3万1,084t-CO₂(認証対象期間:2025年4月1日〜2033年3月31日)

認証対象期間は8年間です。単純に年数で割ると、1年あたりおよそ3,900t-CO₂の吸収を見込んでいる計算になります。実際に発行される量は、今後のモニタリングと国の認証で決まります。

森林の手入れを「収入」に変える仕組み

間伐などの手入れを続けても、木材の値段だけでは費用をまかないにくい。これが多くの森林が抱える課題です。発表では、J-クレジットがこの課題にどう応えるのかが次のように説明されています。

適切な森林管理によって増加したCO2吸収量を国が認証し、クレジットとして取引できる制度であり、森林所有者・管理者は木材販売以外の新たな収益源を得ることができます。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-09-15)

木材を売る収入に、クレジットを売る収入が加わります。発表では、その収入を森林整備や林業の継承に回すことで、手入れを続けられる森林経営につながることが期待されています。

発行までに残っている道のり

今回の「登録」は、スタートラインに立った段階です。J-クレジットが発行されるまでの流れは、発表で次のように説明されています。

J-クレジットの創出には、まず森林管理計画などをもとにプロジェクト登録を行い、その後、一定期間の森林管理によるCO2吸収量をモニタリング・算定し、国による審査・認証を経て、クレジットが発行されます。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-09-15)

整理すると、出水市のプロジェクトは次の位置にあります。

  • 済んだこと:対象の森林、方法論、期間、面積、吸収見込み量が国に認められた
  • これから:森林の手入れを続けながら吸収量を記録・算定し、国の審査と認証を受ける
  • その先:認証された量がクレジットとして発行され、売ったり使ったりできるようになる

バイウィルは、登録申請から審査への対応、モニタリング、販売戦略の立案と販売までを支援するとしています。8年間にわたる記録と手続きを、専門の事業者が支える形です。

銀行と損保がきっかけをつくった連携

出水市のプロジェクトで特徴的なのは、始まりに金融機関がいることです。地元の鹿児島銀行と、全国で事業を展開する損害保険会社の三井住友海上が、プロジェクトの出発点になりました。

この連携の土台には、2025年3月に発表された包括連携協定があります。出水市、いずみみらい、鹿児島銀行、三井住友海上、バイウィルの5者が、カーボンニュートラルの実現に向けて結んだものです。今回の登録は、その協定から1年半ほどで形になった成果といえます。

金融機関がかかわる意味として、次のような点が考えられます。

  • 地域とのつながり:地元の銀行は、自治体や地域の企業との関係が深い。クレジットの買い手候補とも接点を持ちやすい
  • 全国とのつながり:全国に取引先を持つ企業が加わることで、地域の外にも買い手の候補が広がる
  • 信頼の後押し:自治体にとって前例の少ない取り組みでも、なじみのある金融機関が間に入ることで、庁内の理解を得やすくなる

岡山県鏡野町でも、町と包括連携協定を結んでいた地元銀行の紹介が、取り組みを始めるきっかけになりました(鏡野町の森林J-クレジット)。自治体と支援事業者をつなぐ役として、金融機関の存在感が増しています。

由利本荘市のプロジェクトと比べると

出水市と由利本荘市は、同じ第69回認証委員会で登録され、認証対象期間も同じ2025年4月から2033年3月までです。

  • 面積:出水市は823.91ha、由利本荘市は422.76ha
  • 吸収見込み量:出水市は3万1,084t-CO₂、由利本荘市は1万9,200t-CO₂
  • きっかけ:出水市は地元の銀行と損保、由利本荘市は市の出身者とのつながりを持つ食品卸

どちらも、市が管理する森林を対象に、方法論は森林経営活動、種類は通常型です。仕組みは同じでも、プロジェクトが始まるきっかけは地域ごとに違います。

ほかの自治体が参考にできること

  • 地元の金融機関に相談する:包括連携協定などで関係のある銀行が、支援事業者や買い手候補とつないでくれることがある
  • 協定から登録までの時間を見込む:出水市は協定の発表から登録まで1年半ほど。森林の記録集めや計画づくりには時間がかかる
  • 見込み量は目安として扱う:登録時の吸収見込み量は、実際の発行量とは違いうる。予算や計画は幅を持たせて考える
  • 8年間の実務体制を決めておく:登録後も、モニタリングと報告が続く。誰が担うのかを最初に決めておく

まとめ

鹿児島県出水市の森林J-クレジットは、国の制度への登録を終え、クレジットの発行に向けた段階に入りました。

  • 対象は市が管理する823.91haの森林。2033年3月までの8年間で3万1,084t-CO₂の吸収を見込む
  • 地元の鹿児島銀行と三井住友海上の取り組みから始まり、4者で創出と販売を進める
  • 今後は吸収量のモニタリングと国の認証を経て、クレジットの発行を目指す
  • クレジットの収入を森林整備や林業の継承に回すことが期待されている

金融機関が入口となった出水市のプロジェクトが、発行と販売までどう進むのか、引き続き注目です。

出典・参考・画像参照元

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