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福井県勝山市と小原生産森林組合の森林J-クレジットで2,307haで1万7,227t-CO2の吸収を見込む

福井県勝山市と小原生産森林組合が管理する2,307.05haの森林が、J-クレジット制度のプロジェクトとして正式登録されました。地元の銀行とテレビ局がきっかけをつくった5者の連携と、登録の意味を解説します。

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勝山市と小原生産森林組合が管理する森林。まっすぐに高く伸びた杉の木々を、根元から見上げた様子
目次

福井県勝山市、小原生産森林組合、バイウィルが進めてきた森林J-クレジットのプロジェクトが、第69回J-クレジット認証委員会で、国の制度に正式に登録されました。2026年8月26日にバイウィルが発表しています。

画像出典元:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-08-26)

このプロジェクトは、地元の株式会社福井銀行と福井テレビジョン放送株式会社がきっかけで始まりました。勝山市、小原生産森林組合、福井銀行、福井テレビ、バイウィルの5者で、今後もクレジットの創出と販売を進めるとしています。

市だけでなく地域の森林組合が加わっていること、地元の銀行とテレビ局がかかわっていること。この2点が、勝山市のプロジェクトの特徴です。この記事では、プロジェクトの中身と、地域ぐるみの連携の形を見ていきます。

プロジェクトのポイント

  • 自治体:福井県勝山市(市長:水上実喜夫氏)
  • 森林の管理者:勝山市、小原生産森林組合(理事組合長:國吉一実氏)
  • 連携先:株式会社福井銀行、福井テレビジョン放送株式会社、株式会社バイウィル
  • 方法論:森林経営活動(適切な森林管理によるCO₂吸収量の増加を算定する方法)
  • プロジェクトの種類:通常型
  • 面積:2,307.05ha
  • 吸収見込み量:1万7,227t-CO₂(認証対象期間:2026年4月1日〜2034年3月31日)

認証対象期間は2026年4月からの8年間です。単純に年数で割ると、1年あたりおよそ2,150t-CO₂の吸収を見込んでいる計算になります。実際に発行される量は、今後のモニタリングと国の認証で決まります。

「登録」で何が決まったのか

発表では、今回の登録の意味と、これからの流れが次のように説明されています。

今回のプロジェクト登録により、福井県勝山市、小原生産森林組合が管理する森林は、J-クレジット創出に向けた対象森林として正式に登録されました。今後は、適切な森林管理を継続しながらCO2吸収量のモニタリング・算定を行い、国による認証を経てJ-クレジットの発行を目指します。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-08-26)

登録によって、「この森林を、この方法で、この期間、クレジットの対象にする」ことが国に認められました。一方で、実際に何トン分のクレジットが発行されるか、誰にいくらで売れるかは、これからの段階で決まります。

バイウィルは、登録申請から審査への対応、モニタリング、販売戦略の立案と販売までを支援するとしています。

面積が大きくても、吸収量が大きいとは限らない

勝山市のプロジェクトの面積は2,307.05haです。同じ第69回認証委員会で登録された出水市・由利本荘市のプロジェクトと並べると、次のようになります。

  • 福井県勝山市:2,307.05ha/1万7,227t-CO₂(2026年4月〜2034年3月)
  • 鹿児島県出水市:823.91ha/3万1,084t-CO₂(2025年4月〜2033年3月)
  • 秋田県由利本荘市:422.76ha/1万9,200t-CO₂(2025年4月〜2033年3月)

面積は勝山市がいちばん大きい一方で、吸収見込み量はほかの2市のほうが大きくなっています。

森林経営活動の方法論では、手入れによって増えた吸収量を算定します。そのため、クレジットの量は面積だけでなく、木の種類や樹齢、この期間にどれだけ間伐などの手入れを計画しているかによっても変わると考えられます。面積の数字だけで、ほかのプロジェクトと単純に比べることはできません。

森林組合と地元企業が支える連携

市と森林組合が一緒に取り組む

勝山市のプロジェクトでは、市と小原生産森林組合がそれぞれ管理する森林が対象になっています。生産森林組合は、地域の人たちが共同で森林を持ち、管理する組合です。

自治体の森林だけでなく、地域の組合が管理する森林も一緒に登録したことで、まとまった規模のプロジェクトになりました。市と地域の組合が組むのは、ほかの自治体でも検討しやすい形です。

銀行とテレビ局がきっかけに

プロジェクトのきっかけをつくったのは、地元の福井銀行と福井テレビです。2024年5月に発表された、勝山市、福井銀行、福井テレビ、バイウィルの連携協定が土台になっています。

地元企業がかかわる意味として、次のような点が考えられます。

  • 銀行:地域の企業とのつながりが深く、クレジットの買い手候補を見つけやすい
  • テレビ局:地域の人たちに取り組みを伝える力がある。森林を守る意味を広く知ってもらうきっかけになる

鹿児島県出水市でも、地元の銀行がプロジェクトの出発点になっています。地域の金融機関が、自治体と支援事業者をつなぐ例が増えています。

クレジットの収入を森林に戻す

発表では、このプロジェクトに期待される効果が次のように書かれています。

これにより、将来的には木材販売に加え、新たな収益源の確保や、その収益を森林整備や林業の継承へ還元することで、持続可能な森林経営につながることが期待されます。 >出典:株式会社バイウィル(https://www.bywill.co.jp/news/2026-08-26)

先行する岡山県鏡野町では、認証されたクレジットを地元企業が8年間の長期契約で購入し、町はその収入を町有林の間伐などに充てる予定です(鏡野町の森林J-クレジット)。勝山市でも、発行後に同じような循環をつくれるかが次の課題になります。

ほかの自治体が参考にできること

  • 地域の森林組合と組む:自治体の森林だけでは規模が小さい場合でも、地域の組合が管理する森林と合わせれば、まとまったプロジェクトにできる
  • 地元企業を巻き込む:銀行は買い手探し、テレビ局などのメディアは取り組みの発信と、地元企業にはそれぞれ得意な役割がある
  • 協定から登録までの時間を見込む:勝山市は協定の発表から登録まで2年あまり。森林の記録集めや計画づくりには時間がかかる
  • 面積より計画を見る:吸収見込み量は、面積だけでなく森林の状態や手入れの計画で変わる。自分の町の森林で何トン見込めるかは、専門家と一緒に試算する

まとめ

福井県勝山市と小原生産森林組合の森林J-クレジットは、国の制度への登録を終え、クレジットの発行に向けた段階に入りました。

  • 対象は市と小原生産森林組合が管理する2,307.05haの森林。2034年3月までの8年間で1万7,227t-CO₂の吸収を見込む
  • 地元の福井銀行と福井テレビがきっかけをつくり、5者で創出と販売を進める
  • 今後は吸収量のモニタリングと国の認証を経て、クレジットの発行を目指す
  • クレジットの収入を森林整備や林業の継承に回すことが期待されている

市と森林組合、地元の銀行とテレビ局が一緒に進める勝山市のプロジェクトが、発行と販売までどう進むのか、引き続き注目です。同じ時期に登録された秋田県由利本荘市のプロジェクトもあわせてご覧ください。

出典・参考

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