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再エネの国民負担と自立化|2027年度から地上設置の事業用太陽光がFIT/FIPの対象外に

国は、FIT/FIP制度の支援を受けるすべての再エネについて、支援がなくても新しい投資が進む「自立化」を目指すことを明確にしました。2027年度から地上設置の事業用太陽光を支援の対象外とする理由、認定の失効制度、価格の決め方、PPAや非化石証書など再エネ価値を通じた投資の促進策を整理しました。

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屋上に太陽光パネルを載せた工場群と蓄電池を結ぶ光のラインを真上から見た様子
目次

再エネの導入を支えてきた FIT/FIP 制度は、電気を使う人が払う再エネ賦課金によって成り立っています。国はいま、この支援がなくても再エネへの投資が進む状態、つまり「自立化」を本格的に目指しています。その象徴が、2027年度から地上設置の事業用太陽光を支援の対象外にする決定です。この記事では、GX LAB 編集部が、資源エネルギー庁の資料をもとに、国民負担の抑制と自立化の取り組みを整理します。

再エネ政策の全体像は、再エネ主力電源化の最新政策の解説で解説しています。

この記事でわかること

  • 再エネ賦課金と国民負担の現状
  • 認定の失効制度
  • 自立化の考え方
  • 地上設置の事業用太陽光が支援の対象外になる理由
  • 再エネ価値を通じた FIT から自立した投資の促進

国民負担の現状

再エネ賦課金は、再エネ電気の買取費用などから、その電気を売った場合に得られる収入を差し引いて計算します。2026年度の水準は4.18円/kWh です。買取総額の大半は、2012〜2014年度に認定された、相対的に高い価格の事業用太陽光が占めています。

国はこれまでも、FIT/FIP 制度の調達価格・基準価格を引き下げてきました。今後も引き下げを進めつつ、事業が特に効率よく行われている場合でも足下でコストの上昇が見られることを確かめたうえで、上昇分は適切に価格に反映するとしています。

認定の失効制度

FIT/FIP の認定を受けたまま運転を始めない案件は、高い価格の権利が残り続け、系統の容量も押さえてしまいます。2022年4月施行の改正再エネ特措法で、一定の期限までに運転開始に向けた進捗が見られない未稼働の案件の認定を失効させる制度が導入されました。これまでに約8万件・約8GW が失効しています。

自立化の考え方

FIT/FIP 制度は、再エネのコスト競争力がまだ十分でない段階で、国民負担による価格支援で導入を広げ、量産効果や習熟でコストを下げていく制度です。そのため、将来的に支援がなくても新しい投資が進むところまでコストを下げること(自立化)が、支援の前提とされています。

2025年度の調達価格等算定委員会では、支援の対象となっているすべての電源について、将来的な自立化を目指すことが明確にされました。

  • 将来は、資本費と運転維持費を合わせた発電コストが「自立化水準」(卸電力市場価格と環境価値を合わせた水準が目安)に収まることを目指す
  • 運転維持費だけで自立化水準を超える電源は、支援期間の終了後の長期的な稼働にも課題がある

資料では、卸電力市場価格を10円/kWh、環境価値を0.4円/kWh とした場合、発電コストが10.4円/kWh 以下であれば新規投資の回収が可能になる目安を示しています。住宅用太陽光は、自家消費の便益を考えると15円/kWh が目安です。

支援の対象外になる電源

大規模バイオマス(2026年度から)

発電コストの大半を燃料費が占め、将来の自立化が見通しにくいことから、2026年度以降、FIT/FIP 制度の支援の対象外になりました。

地上設置の事業用太陽光(2027年度から)

2026年2月の調達価格等算定委員会の意見では、次の点が確認されました。

  • FIT 制度の開始以降、認定量・導入量ともに大きく増えた
  • 大規模だけでなくすべての規模で、技術革新などによるコスト低減が進んだ。入札では上限価格を下回る落札が続いている
  • PPA による収益の確保などで、FIT/FIP 制度によらない案件も出てきた
  • 一方で、自然環境・安全・景観など、地域共生上の課題がはっきりしてきた

これらを総合的に判断し、事業用太陽光(地上設置)は2027年度以降、FIT/FIP 制度による支援の対象外とすることになりました。2026年3月末に省令・告示も改正されています。一方、屋根設置など地域との共生が図られた太陽光の導入は引き続き重要とされ、2027年度以降の支援のあり方は、支援を重点化する対象とあわせて検討・決定するとしています。屋根設置への支援は、屋根設置太陽光の拡大策の解説で取り上げています。

再エネ価値を通じた投資の促進

支援がなくても投資が進むには、再エネの電気が持つ「環境価値」がきちんと評価され、取引される環境が欠かせません。特に大規模な新規投資や再投資では、需要家との中長期の PPA の重要性が増すと資料は指摘しています。関連する施策として、次のようなものが挙げられています。

  • 再エネ価値の需要の喚起:GX 戦略地域制度で脱炭素電力の100%活用を支援の必須要件にする、省エネ・非化石転換法に基づく非化石転換の促進
  • 再エネ価値が評価される環境の整備:非化石価値取引市場の課題整理と上下限価格の見直し、GHG プロトコルの Scope2の改訂への意見提出、成長志向型カーボンプライシングの段階的な発展

非化石証書の価格の見直しは、FIT非化石証書の最低価格の引き上げのコラムで取り上げています。

事業者にとっての意味

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

地上設置の事業用太陽光は、2027年度以降、FIT/FIP の支援を前提にできなくなります。新しく地上設置の案件を進めるなら、PPA で需要家と長期の契約を結ぶ、自家消費と組み合わせる、蓄電池で売る時間をずらすなど、支援によらない収益の形をつくることが前提になります。需要家の側から見れば、環境価値を持つ再エネ電気を長期で確保する PPA は、脱炭素とコストの両面で選択肢になっていきます。

まとめ

  • 2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWh。買取総額の大半を2012〜2014年度認定の太陽光が占める
  • 未稼働案件の認定失効で、これまでに約8万件・約8GW が失効した
  • 国は、支援を受けるすべての電源の自立化を目指すことを明確にした
  • 大規模バイオマスは2026年度から、地上設置の事業用太陽光は2027年度から、FIT/FIP の支援の対象外
  • PPA や非化石証書など、再エネ価値を通じた投資の促進が政策の柱の一つになる

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q地上設置の太陽光はFIT/FIPを使えなくなるのですか?
A

事業用太陽光(地上設置)は、2027年度以降、FIT/FIP制度による支援の対象外になります。コスト低減が進み、FIT/FIPによらない案件も出てきた一方で、地域共生上の課題がはっきりしてきたことなどを総合的に判断した決定です。屋根設置など地域共生が図られた太陽光は、引き続き支援の重点化が検討されています。

Q再エネの自立化とは何ですか?
A

FIT/FIP制度の支援がなくても、新しい電源への投資が進む状態のことです。資本費と運転維持費を合わせた発電コストが、卸電力市場価格と環境価値を合わせた水準(自立化水準)に収まることが目安とされています。

Q認定の失効制度とは何ですか?
A

FIT/FIPの認定を受けたあと、一定の期限までに運転開始に向けた進捗が見られない未稼働の案件の認定を失効させる制度です。2022年4月施行の改正再エネ特措法で導入され、これまでに約8万件・約8GWが失効しました。

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