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再エネ主力電源化の最新政策|2026年6月の導入状況と、地域共生・国民負担・市場統合の3つの課題

資源エネルギー庁は2026年6月、再エネの主力電源化に向けた今後の政策の方向性を示しました。太陽光78GWまで進んだ導入状況、中東情勢を受けた再エネの位置づけ、地域共生・国民負担の抑制・電力市場への統合という3つの課題と、メガソーラー対策や蓄電池、屋根設置太陽光などの最新施策を整理しました。

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山あいの盆地に広がる太陽光パネルと蓄電池、変電設備の近未来のエネルギー基地
目次

2012年の FIT 制度の開始から14年。太陽光を中心に再生可能エネルギー(再エネ)の導入は大きく進みましたが、その一方で、地域とのトラブルや国民負担の増加が目立つようになりました。資源エネルギー庁は2026年6月3日、審議会に「再エネ主力電源化に向けた今後の再生可能エネルギー政策について」を示し、導入の現状と課題、今後の取り組みを整理しています。この記事では、GX LAB 編集部が、その全体像をまとめます。

この記事でわかること

  • いま再エネの導入が改めて求められる理由
  • 2025年12月末時点の再エネの導入状況
  • 再エネ政策の3つの横断的な課題
  • 課題ごとの最新の施策
  • 企業や事業者にとっての意味

再エネが改めて求められる理由

資料はまず、再エネの社会受容性が低下していると率直に認めています。2012年の FIT 制度開始以降、太陽光を中心に導入が急拡大した一方で、地域との共生の問題や国民負担の増加が生じ、2025年には不適切なメガソーラー開発の問題が大きく取り上げられました。

それでも国が再エネの導入を進めるのは、日本のエネルギーを取り巻く構造的な弱さがあるためです。

  • エネルギー自給率:2024年度は16.3%で、OECD 加盟38か国の中で2番目に低い
  • 火力への依存度:2024年度の電源構成の68%が火力
  • 化石燃料の輸入:2024年は約24兆円。高付加価値品で稼ぐ外貨(約28兆円)の大半を費やしている

再エネは火力への依存を下げてきた

東日本大震災の直後、電源構成に占める火力の割合は約9割に近づきましたが、いまは7割を切っています。化石燃料の輸入量も震災直後から減る傾向にあり、例えば LNG の輸入量は2割程度減りました。資料は、再エネの拡大が、原子力の再稼働や省エネとともに、火力への依存を下げることに貢献してきたと評価しています。

中東情勢の悪化は、エネルギー安全保障の重要性を改めて示しました。資料は、現時点では電力分野への影響は限定的で、LNG の調達先の多角化や、再エネの導入拡大、原子力の再稼働で輸入燃料への依存が下がっていることが寄与していると分析しています。

世界では再エネが主役に

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、世界では太陽光・風力を中心に再エネの発電コストが急速に下がり、競争力のある電源になっています。英国のシンクタンク Ember によれば、2025年上半期には、世界の電源構成に占める再エネの割合が初めて石炭火力を上回りました。米国では、2026年に過去最高となる86GW の大規模発電設備が新設される予定で、その51%を太陽光が占めます。欧州各国の首脳や閣僚も、中東情勢を受けて、化石燃料への依存を減らし、自国産の再エネへの移行を加速する考えを相次いで示しています。

こうした状況をふまえ、資料は「地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、望ましい事業は積極的に促進すべき」との考えを示しています。

電力システム全体の方向性

あわせて示された電力の安定供給に向けた方向性では、再エネや原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用・拡大しつつ、足下で電力供給の約7割を占める火力も含めて、将来にわたって必要な供給力を確保する制度を検討するとしています。調整力の確保に向けては、ディマンドリスポンスや蓄電池などの分散型エネルギーリソースの導入拡大を促し、脱炭素電源の立地地域に需要家を呼び込む GX 戦略地域制度の取り組みも進めます。大規模な送電線の整備を後押しする電気事業法の改正案も国会に提出されました。

再エネの導入状況

震災以降、太陽光は約20倍に

電源構成に占める再エネの割合は、2011年度の10.4%から2024年度の23.1%へ、約2.0倍になりました。特に太陽光は0.4%から9.9%へ約20倍、風力は約2.5倍、バイオマスは約2.6倍に増え、国土面積あたりの太陽光の設備容量は、主要国の中で最大級の水準に達しています。

2040年度の見通し

第7次エネルギー基本計画とあわせて示された2040年度の見通しでは、2024年度と比べて次のような姿を描いています。

  • エネルギー自給率:16.3%から3〜4割程度へ
  • 発電電力量:9,911億kWh から1.1〜1.2兆kWh 程度へ
  • 再エネ:23.1%から4〜5割程度へ(太陽光23〜29%、風力4〜8%、水力8〜10%、地熱1〜2%、バイオマス5〜6%程度)
  • 原子力:9.4%から2割程度へ
  • 火力:67.5%から3〜4割程度へ

再エネは、2040年度に電源構成のおよそ半分を担う主力電源と位置づけられています。

電源ごとの現在地(2025年12月末時点)

  • 太陽光:導入量78.0GW。直近はおおむね年3.5〜5GW のペース。2030年の目標(103.5〜117.6GW)には、年5〜8GW のペースが必要
  • 陸上風力:導入量6.7GW。FIT/FIP 認定済みで未稼働の容量が9.4GW
  • 洋上風力:法律に基づく案件形成などで、これまでに最大6.4GW
  • 地熱:導入量0.6GW。2030年の目標1.5GW とは開きがある
  • 中小水力:導入量10.1GW。2030年の目標は10.4GW
  • バイオマス:導入量8.7GW で、2030年の目標8.0GW を超えている

地熱は、2020〜2025年度に JOGMEC による資源量調査を全国のべ127件で行ってきたものの、調査や地元調整に長い時間がかかり、新規の導入が少ない状況です。中小水力も、残る開発地点が奥地になり、開発期間が長くなる傾向があります。バイオマスは目標を超えた一方、大規模事業は直近の FIP 入札で入札量がゼロになるなど新しい案件が生まれておらず、中小規模の事業では燃料の需給のひっ迫が課題になっています。

FIT 制度の開始後に新たに運転を始めた設備は約8,500万kW で、認定容量全体の約82%に当たります。このうち太陽光が約85%を占めます。

FIT/FIP によらない太陽光が増えている

適地の減少などを背景に、太陽光の FIT/FIP の認定容量は足下で減っています。一方、太陽光パネルの国内出荷量は2025年度に6.2GW と、おおむね同じ水準を保っています。導入コストが下がり、自家消費や PPA(電力購入契約)など、FIT/FIP 制度によらずに事業を行う形態が増えていると考えられます。

再エネ政策の3つの横断的な課題

資料は、第7次エネルギー基本計画を軸に、電源に共通する課題を3つに整理しています。

  1. 地域との共生等:事業規律の確保、不適切な事案への法的規制の強化、適切な廃棄・リサイクル、長期安定電源化
  2. 国民負担の抑制と FIT/FIP 制度からの自立化:コストダウン、再エネ価値を通じた FIT 制度から自立した投資の促進
  3. 電力市場への統合:FIP 制度の促進、調整力の確保、電力ネットワークの増強

このほか、電源ごとに、ポテンシャルの活用やイノベーションの加速、サプライチェーンの構築といった課題が挙げられています。

課題1:地域との共生

メガソーラー対策パッケージ

2025年12月23日、政府は関係閣僚会議で「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」を決定しました。不適切な事案への法的規制の強化、自治体との連携の強化、地域共生型への支援の重点化という3つの柱で、森林法の罰則の新設や、太陽光発電設備の構造を第三者機関が確かめる仕組みの創設などを進めています。

あわせて、2024年度からは国が現地調査を行い、2年間でのべ約3,000件の設備を調べ、約1,600件に改善を求めました。詳しくはメガソーラー対策パッケージの解説で取り上げています。

長期安定電源化

FIT/FIP 制度の支援で導入された再エネが、支援の期間が終わったあとも長く発電を続けられるかも大きな課題です。事業用太陽光では、2032〜2036年度に約29GW・約46万件の調達期間・交付期間が終わります。国は、再エネを50年、100年と社会に根づく電源にする「再エネ100年構想」を掲げ、責任ある事業者への事業の集約を進めています。詳しくは再エネの長期安定電源化の解説で取り上げています。

課題2:国民負担の抑制と自立化

2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWh です。買取総額の大半は、2012〜2014年度に認定された、相対的に高い価格の事業用太陽光が占めています。

国は、FIT/FIP 制度の支援を受けるすべての電源について、将来的に支援がなくても新しい投資が進む状態(自立化)を目指すことを明確にしました。その一環として、事業用太陽光(地上設置)は、2027年度以降、FIT/FIP 制度の支援の対象外とすることが決まっています。認定後に運転開始の見込みがない案件を失効させる制度では、これまでに約8万件・約8GW が失効しました。詳しくは再エネの国民負担と自立化の解説で取り上げています。

課題3:電力市場への統合

天候で発電量が変わる再エネを大量に受け入れるには、需給を調整する力が欠かせません。資料は、FIP 制度の促進や出力制御への対策に加え、蓄電池やディマンドリスポンス(DR)などの分散型エネルギーリソースの活用を進めるとしています。

系統用蓄電池は、2025年12月末時点で連系済みが64万kW、契約申込みは約3,000万kW に上ります。一方で、事業化の見込みが不透明な申込みが多く、再エネの接続にも影響が出るおそれがあるとして、接続の規律を強める対策が打ち出されました。詳しくは系統用蓄電池・分散型リソースの最新施策の解説で取り上げています。

電源別の課題:太陽光は屋根へ

太陽光は、地上設置の適地が減るなかで、建物の屋根や壁面の活用が導入拡大の中心になります。国は、公共部門で2030年に設置可能な建築物等の約50%、2040年に100%への設置を目指し、工場などの屋根への導入目標を国に報告させる制度も2026年4月に始めました。住宅では、2030年に新築戸建住宅の6割への設置を目指しています。詳しくは屋根設置太陽光の拡大策の解説で取り上げています。

このほか、資料は、風力では洋上風力の案件形成とサプライチェーンの構築、地熱では次世代型地熱の拡大と事業リスクの低減、中小水力では自治体主導の開発の促進などを、電源ごとの課題として挙げています。

税制での後押し

再エネ発電設備の固定資産税を3年間、一定の割合で軽くする特例も見直されました。地域と共生した国産再エネを広げる観点から、太陽光はシリコン系を対象外にしたうえで国産のペロブスカイトを拡充し、風力は洋上風力を拡充、陸上風力は地域共生の案件に絞っています。そのうえで、すべての再エネ電源について、適用期限を2029年3月31日まで延ばし、適用期間を2年間から3年間に長くしています。

企業・事業者にとっての意味

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

今回の資料からは、再エネ政策が「とにかく量を増やす」段階から、「地域に受け入れられ、支援がなくても続く再エネを増やす」段階へ移ったことが読み取れます。

  • 発電事業者:事業規律への対応、支援期間終了後の事業計画、事業の売却・集約の判断が求められる
  • 需要家(企業):屋根設置や PPA など、FIT/FIP によらない再エネの調達が主流になっていく
  • 蓄電池事業者:導入への期待は大きい一方、接続や地域共生の規律が強まる

中東情勢を受けて、国産エネルギーとしての再エネの重要性は一段と高まっています。制度の変化を早めにつかみ、自社にとっての機会とリスクを整理しておくことをおすすめします。

まとめ

  • 資源エネルギー庁は2026年6月、再エネの主力電源化に向けた今後の政策を整理した
  • 太陽光の導入量は78.0GW。FIT/FIP によらない導入が増えている
  • 課題は「地域との共生」「国民負担の抑制と自立化」「電力市場への統合」の3つ
  • メガソーラー対策、長期安定電源化、地上設置太陽光の支援終了、蓄電池の接続規律、屋根設置の拡大など、施策が一斉に動いている

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q再エネの主力電源化とは何ですか?
A

再生可能エネルギーを電源構成の中心となる電源にすることです。2040年度の見通しでは、再エネを電源構成の4〜5割程度にするとしています。資源エネルギー庁は2026年6月、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限の導入を進める方針と、その課題を整理しました。

Qいま再エネの導入状況はどうなっていますか?
A

2025年12月末時点で、太陽光の導入量は78.0GWです。電源構成に占める再エネの割合は、2011年度の10.4%から2024年度の23.1%へ約2倍になりました。太陽光は2030年の目標(103.5〜117.6GW)に向けて、年5〜8GWのペースでの導入が必要とされています。

Q再エネ政策の課題は何ですか?
A

電源に共通する課題として、①地域との共生等(事業規律の確保、廃棄・リサイクル、長期安定電源化)、②国民負担の抑制とFIT/FIP制度からの自立化、③電力市場への統合(FIPの促進、調整力の確保、送電網の増強)の3つが挙げられています。

Q中東情勢は再エネ政策にどう関係しますか?
A

日本はエネルギー自給率が16.3%と低く、化石燃料の輸入に約24兆円を費やしています。中東情勢の悪化でエネルギー安全保障の重要性が改めて示され、国産エネルギーである再エネの導入を加速させる必要性が高まっています。

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