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地球温暖化対策に新しい技術(DACCS、CO2吸収型コンクリート)の方向性

地球温暖化対策計画は、森林やブルーカーボンなどの吸収源で2040年度に約84百万トンの吸収を確保し、JCMで2040年度までに累積2億トン程度の国際的な削減を目指しています。吸収源対策と、J-クレジット・JCMの役割や今後の方向性を整理しました。

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猛暑の強い日差しの下、乾いてひび割れた地面に植えられた苗木の列が奥の森へ続く風景。手前では作業用手袋の手が苗木の根元を整え、右上に温度計と葉がCO2を吸収するアイコンがある
目次

温室効果ガスを「ネット・ゼロ」にするには、排出を減らすだけでなく、森林などで CO2を吸収することや、削減・吸収の価値を取引できる仕組みも欠かせません。地球温暖化対策計画は、吸収源の確保、J-クレジット制度の活性化、二国間クレジット制度(JCM)の推進を示しています。この記事では、GX LAB 編集部がその要点を整理します。

計画全体の流れは、地球温暖化対策計画の全体像で解説しています。

この記事でわかること

  • 吸収源の目標と、森林・農地・都市緑化・ブルーカーボンの対策
  • 新しい技術(DACCS、CO2吸収型コンクリート)の方向性
  • J-クレジット制度の活性化の方向性
  • JCM(二国間クレジット制度)の目標と進め方

吸収源の目標と現状

計画は、温室効果ガスの吸収源として、2030年度に約47.7百万トン、2040年度に約84百万トンの吸収量の確保を目標にしています。2040年度の数値は、新しい森林吸収量の算定方法を適用した場合に見込まれる値です。

2022年度の森林などの吸収源対策による吸収量は5,020万トンで、2013年度の温室効果ガス総排出量(14億700万トン)の3.6%にあたります。

吸収源の対策

森林吸収源対策

森林は、光合成で大気中の CO2を吸収し、幹や枝などの形で炭素を固定します。計画は、「森林・林業基本計画」にもとづいて、次の取り組みを進めるとしています。

  • 再造林や間伐などの適切な森林整備。エリートツリー(成長の早い優良な木)などの種苗の生産拡大で、成長の旺盛な若い森林をつくる
  • 保安林や自然公園などの適切な管理・保全
  • 木材利用の促進。中高層建築物などの木造化・木質化や、CLT(直交集成板)などの技術開発・普及

木材を建物に使うことは、都市に新しい炭素の貯蔵庫をつくることになり、ほかの資材より製造時のエネルギー消費が少ないため、建物のライフサイクルを通じた排出削減にも役立つとしています。

農地・都市緑化

  • 農地土壌:堆肥や緑肥などの有機物、バイオ炭の施用で、土壌の炭素貯留を増やす
  • 都市緑化:都市公園の整備や、建物の屋上などの新しい緑化空間の創出、民間事業者による良質な緑地の確保などを進める

ブルーカーボン

ブルーカーボンは、藻場(海草・海藻)や塩性湿地・干潟など、沿岸や海の生態系によって吸収・固定される炭素のことです。計画は、吸収量の算定方法を確立して国の排出・吸収の目録(インベントリ)に反映し、藻場・干潟の保全・再生・創出を進めるとしています。沖合で海藻を育てて深海に貯留する取り組みの可能性も検討するとしています。

新しい技術

  • DACCS(大気中の CO2を直接回収して貯留する技術):クレジット創出に向けた方法論を策定。脱炭素電源や海外の CCS 適地の活用も有効とし、除去価値の国家間移転に向けた制度整備を検討する
  • CO2吸収型コンクリート:算定方法を確立し、公共調達による販路拡大などで、2030年に既存のコンクリートと同じ価格を目指す。将来的な公共工事での調達義務化も視野に検証を進める

J-クレジット制度の活性化

J-クレジット制度は、省エネ設備の導入や再エネの活用、森林管理などによる排出削減・吸収の量を、国がクレジットとして認証する制度です。計画は、信頼性・質の高いクレジット制度として認知されており、2050年ネット・ゼロの実現に向けても必要な制度だとして、2030年度以降も使える制度として継続性を確保するとしています。

  • 森林の所有者や管理主体への働きかけで、森林経営活動による J-クレジットの創出と活用を広げる
  • CO2吸収型コンクリートなどの J-クレジット化を検討する
  • 個人や中小企業の省エネ・再エネ設備の導入による環境価値を、メーカーやリース会社などがまとめて1つのプロジェクトにすることを促す
  • 東京証券取引所のカーボン・クレジット市場での取引の拡大で、需要の拡大を見込む
  • 国際航空のオフセットの仕組み(CORSIA)での活用を検討する

J-クレジットは、削減しきれない排出を埋め合わせる(オフセットする)手段として、企業が使うことができます。

JCM(二国間クレジット制度)

JCM は、途上国などに日本の脱炭素技術や製品、インフラなどを広げて実現した排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価し、日本の NDC の達成に活用する仕組みです。

  • 目標:官民連携で、2030年度までの累積で1億トン程度、2040年度までの累積で2億トン程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目指す
  • 対象分野の拡大:これまで多くの案件が動いている省エネ・再エネ・廃棄物の分野に加え、農業・泥炭地管理などの非エネルギー分野、CCS、温室効果ガスの除去へと広げる
  • 民間資金を中心とした JCM プロジェクトも、国が技術面や MRV(測定・報告・検証)などで支援して拡大・加速させる
  • パートナー国を戦略的に新しく開拓する

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)などの枠組みを基礎に、日本の技術を使って世界の排出削減に貢献することも、計画の柱の一つです。製品・サービスが社会の削減にどれだけ役立つかを示す「削減貢献量」の国際的な理解を広げるとしています。削減貢献量などの考え方は、GX産業構造と「GX価値の見える化」の解説で紹介しています。

企業にとっての意味

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

J-クレジットは、排出を減らす側(省エネ・再エネ設備を入れた中小企業など)にとっては収入の機会になり、削減しきれない側にとってはオフセットの手段になります。計画が、中小企業の設備導入をまとめてクレジット化する仕組みを促すとしている点は、中小企業にとって活用の入り口が広がる動きです。自社の脱炭素の進め方は、企業に求められる温暖化対策の解説もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 吸収源で2030年度に約47.7百万トン、2040年度に約84百万トンの吸収を目指す
  • 森林整備と木材利用、農地土壌、都市緑化、ブルーカーボン、DACCS などで吸収を広げる
  • J-クレジット制度は2030年度以降も継続し、森林由来や中小企業の設備導入によるクレジットを広げる
  • JCM で、2040年度までに累積2億トン程度の国際的な削減・吸収を目指す

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q吸収源の目標はどのくらいですか?
A

2030年度に約47.7百万トン、2040年度に約84百万トンの吸収量の確保が目標です。2040年度の値は、新しい森林吸収量の算定方法を適用した場合に見込まれる数値です。

QJ-クレジットとJCMの違いは何ですか?
A

J-クレジットは、国内での省エネ・再エネ設備の導入や森林管理などによる削減・吸収量を認証する制度です。JCM(二国間クレジット制度)は、途上国などで日本の脱炭素技術を使って実現した削減・吸収への日本の貢献を評価し、日本のNDC達成に活用する制度です。

Qブルーカーボンとは何ですか?
A

藻場(海草・海藻)や塩性湿地・干潟など、沿岸や海の生態系によって吸収・固定される炭素のことです。計画は、吸収量の算定方法を確立して国の目録に反映し、藻場・干潟の保全・再生・創出を進めるとしています。

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