GX LAB
ナレッジ

出力制御の3つのルール|旧ルール30日・新ルール360時間・無制限無補償の違い

太陽光・風力の出力制御には、接続した時期などで決まる「旧ルール(年間30日)」「新ルール(太陽光は年間360時間)」「無制限・無補償」の区分があります。それぞれの違い、指定電気事業者制度の廃止、出力制御の対象拡大、順番変更との関係を整理しました。

公開日
Share
山あいの川沿いに並ぶ系統用蓄電池と斜面の太陽光パネル
目次

太陽光の出力制御について調べると、「30日ルール」「360時間ルール」「無制限・無補償ルール」という言葉が出てきます。これは、無補償で出力制御に応じる範囲を決めた区分で、どれが当てはまるかは、設備を接続した時期や条件で決まります。この記事では、GX LAB 編集部が、資源エネルギー庁の資料をもとに、3つのルールの違いを整理します。

出力制御の仕組み全体は、出力制御とは?の解説で解説しています。

この記事でわかること

  • 3つの出力制御ルールの違い
  • 指定電気事業者制度の廃止と、無制限・無補償ルールの全国適用
  • 出力制御の実施対象の拡大
  • 順番変更と、FIP 転換したときのルール

3つの出力制御ルール

出力制御の公平性の確保に係る指針では、出力制御の上限について次のルールが規定されています。

  • 旧ルール(日数制御):年間30日まで
  • 新ルール(時間制御):太陽光は年間360時間、風力は年間720時間まで
  • 無制限・無補償ルール:上限なし

いずれも、決められた範囲内では、無補償で出力制御に応じることが求められます。同じルールで接続している事業者の間では、出力制御の機会が均等になるよう、グループに分けて年度単位などで順番に制御します。

30日等出力制御枠

資源エネルギー庁によると、FIT 制度のもとで、年間30日(または太陽光360時間、風力720時間)の上限の範囲内で系統に接続できる量として「30日等出力制御枠」が定められていました。上限を設けることで、事業の予見性を高めるためです。この枠の範囲内で契約した事業者は、上限まで無補償で出力制御に応じることが義務づけられてきました。

風力の部分制御換算時間

風力では、出力を一部だけ下げる「部分制御」を時間に換算する考え方があります。指針では、たとえば出力の上限を定格の30%までとする場合、制御量は最大70%分となるため、1時間の制御を0.7時間とみなす例が示されています。

指定電気事業者制度の廃止

30日等出力制御枠を超えて太陽光・風力の接続が見込まれるエリアでは、一般送配電事業者が「指定電気事業者」に指定され、そのあとに契約した事業者は、無制限・無補償で出力制御に応じることが義務づけられてきました。

全国で太陽光・風力の導入が進んだことをふまえ、将来接続する事業者の負担を軽くすることにもつなげるため、指定電気事業者制度を早期に廃止し、全エリアに無制限・無補償ルールを適用することが、国の審議会で決まりました。これにより、2021年4月以降、東京・中部・関西エリアを含む全エリアで、無制限・無補償ルールが適用されています。

出力制御の実施対象の拡大

旧ルールの500kW 未満の太陽光は、これまで当面の間、出力制御の実施対象外とされていました。事業者間の公平性を確保するため、2022年4月から、これらの設備も出力制御の実施対象とし、同じ時期に認定を受けた500kW 以上の設備と同じく30日ルールを適用することになりました。一部のエリアでは、新ルールの500kW 未満の太陽光も対象に広げ、360時間ルールを適用します。

あわせて、手動で制御する設備の分を、遠隔で制御できる設備が代わりに制御する「オンライン代理制御」が導入されています。仕組みはオンライン代理制御の解説で取り上げています。

なお、10kW 未満の太陽光は、当面の間は出力制御の実施対象外です。

順番変更とルールの関係

2026年度または2027年度から、エリアごとに順次、無制限・無補償ルールを FIT と FIP に分け、FIT 電源を先に制御する見直しが始まります。指針のグループ分けの例では、太陽光(FIT)の「年間30日」「年間360時間」「無制限・無補償(FIT)」と、太陽光(FIP・非 FIT・非 FIP)の「無制限・無補償」が、別のグループとして示されています。順番変更の中身は、出力制御の順番変更の解説で解説しています。

押さえておきたい2つの点

  • 今回の順番変更だけで、既存の FIT 設備が一律に無制限・無補償ルールに変わるわけではない
  • FIP 電源には、無制限・無補償ルールが適用される

つまり、今の設備が年間30日や年間360時間の上限つきで接続している場合、FIP に移ると上限のない無制限・無補償ルールの側に移ることになります。

事業者にとっての意味

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

上限つきのルールで接続している事業者にとっては、FIP 転換で「制御の順番が後になる」利点と、「制御の上限がなくなる」条件の両方を比べる必要があります。どちらが有利かは、エリアの出力制御の実績や見通しによって変わります。まずは接続契約を見直して、自分の設備がどのルールに当てはまるかを確かめることが出発点です。

まとめ

  • 出力制御のルールには、旧ルール(年間30日)、新ルール(太陽光は年間360時間)、無制限・無補償がある
  • 2021年4月以降、全エリアで無制限・無補償ルールが適用されている
  • 2022年4月から、旧ルール500kW 未満の太陽光も出力制御の実施対象になった
  • 順番変更だけで既存 FIT が無制限に変わるわけではないが、FIP には無制限・無補償ルールが適用される

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q30日ルールとは何ですか?
A

年間30日を上限として、無補償で出力制御に応じるルールです。旧ルールと呼ばれます。新ルールでは、太陽光は年間360時間、風力は年間720時間が上限です。

Q無制限・無補償ルールはいつから全国に適用されていますか?
A

指定電気事業者制度の廃止により、2021年4月以降、東京・中部・関西エリアを含むすべてのエリアで無制限・無補償ルールが適用されています。

Q順番変更で既存のFIT設備のルールは変わりますか?
A

今回の順番変更だけで、既存のFIT設備が一律に無制限・無補償ルールに変わるわけではありません。ただし、FIPに転換するとFIP電源には無制限・無補償ルールが適用されるため、上限つきのルールで接続している場合は条件の変化を確認する必要があります。

Share