出力制御の順番が変わる|FIT電源を先に制御、FIP転換を後押しする新ルール
2026年度または2027年度から、エリアごとに順次、出力制御の順番がFIT電源→FIP電源に変わります。見直しの理由、対象と開始時期、FIP電源でも制御されるケース、FIP認定2,647件まで増えた移行の動きと、国のFIP促進策を整理しました。

目次
太陽光・風力の出力制御の順番が、2026年度以降、FIT 電源を先に、FIP 電源を後にする形に変わります。FIP への転換を検討する事業者にとっても、FIT のまま続ける事業者にとっても、売電収入の見通しに関わる見直しです。この記事では、GX LAB 編集部が、資源エネルギー庁と経済産業省の資料をもとに、その中身を整理します。
出力制御の仕組み全体は、出力制御とは?の解説で解説しています。
この記事でわかること
- 出力制御の順番がどう変わるのか
- 見直しの理由
- 対象と開始時期
- FIP 電源でも制御されるケース
- FIP 転換の動きと、国の促進策
何が変わるのか
資源エネルギー庁の「出力制御の公平性の確保に係る指針」は、無制限・無補償ルールを「無制限・無補償(FIT)」と「無制限・無補償(FIP)」に分け、FIT 電源が制御されたあとに FIP 電源の出力制御を行うとしています。
- FIT 電源:先に出力制御する
- FIP 電源:FIT 電源の制御のあと、なお必要な場合に制御する
- 非 FIT・非 FIP 電源:FIP 電源と同じ扱い
指針の対象は、自然変動電源(太陽光・風力)です。この点は、2025年4月の指針の改正で明確化されました。
なぜ見直すのか
指針は、FIP 電源を「需給バランスへの貢献度合いが高い電源」と位置づけています。FIP 電源は、自ら発電計画を立て、予測の誤差に対応しながら、需給に応じて発電する電源です。エリアで出力制御が起きている時間帯にも、蓄電池などで供給をずらす動機が働きます。こうした性質と、電源間の公平性をふまえて、制御の順番に差を設けるという考え方です。
経済産業省の資料は、この見直しを、再エネの最大導入(kWh ベース)を図るために FIP 制度への移行を促す施策の一つとして位置づけています。
対象と開始時期
- 開始時期:2026年度または2027年度
- 始まり方:一般送配電事業者の制御システムの改修が終わったエリアから、準備ができ次第、順次運用を始める
全国一斉に始まるわけではありません。経済産業省は、関係する審議会(次世代電力系統ワーキンググループ)で、各一般送配電事業者の準備状況をフォローアップするとしています。自分の設備があるエリアの開始時期は、各一般送配電事業者の発表で確かめる必要があります。
FIP 電源でも制御されるケース
経済産業省の資料は、この見直しにより、FIP 電源(太陽光・風力)は当面、出力制御の対象とならないとしています。ただし、次の点に注意が必要です。
- 余剰が特に大きい日や、制御回数が多いエリアでは、FIT 電源の制御のあとに FIP 電源も制御される
- FIP 電源には、無制限・無補償ルールが適用される
- 同じルールの中では、年度単位などで制御の機会が均等になるよう順番に制御される
また、FIT 電源の出力制御の確率は、この見直しによって上がることになります。FIT のまま続ける事業者にとっても、影響のある変更です。
FIP 転換の動き
認定件数の推移
経済産業省の資料によると、2025年12月末時点の FIP 認定は次のとおりです。
- 合計:約6,830MW・2,647件
- 新規認定:約4,430MW・1,213件
- FIT からの移行認定:約2,400MW・1,434件
- 太陽光:合計で約1,650MW・2,411件(うち移行1,297件)
2024年3月時点(約1,761MW・1,199件)から、容量は3.9倍、件数は2.2倍です。FIT/FIP 全体の認定量に占める FIP の割合は、出力ベースで約6.6%とされています。FIP 認定件数は2023年度の下半期に大きく増え、その後も着実に増えているとしています。
国の促進策
政府は、「将来的には全再エネ電源について FIP 移行が望ましい」という方針のもと、まずは FIT/FIP 全体の約25%が FIP 電源に移るまでの間、集中的に支援を強めるとしています。
- 出力制御の順番の見直し(この記事の内容)
- FIP 電源の蓄電池の活用や発電予測などへの支援の強化
- 順番の見直しで FIT 電源の制御率が上がり、国民負担が減る分の範囲内で、バランシングコストを増額(2025年度は+1.00円/kWh)
- 参照価格などの情報の開示、FIP 移行時の蓄電池設置の手続きの迅速化、アグリゲーターとのマッチングの仕組みづくり
事業者にとっての意味
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。
順番の見直しは、FIP に移る理由の一つになりますが、FIP に移れば必ず収益が増える、というものではありません。今の設備がどの出力制御ルールで接続しているか、FIP に移ると無制限・無補償になることをどう評価するかで、判断は変わります。今の制御の上限については出力制御の3つのルールの解説、確認すべき点はFIP転換を検討するときのチェックポイントで整理しています。
まとめ
- 2026年度または2027年度から、エリアごとに順次、FIT 電源→FIP 電源の順で出力制御する
- FIP 電源は需給への貢献度が高いことと、電源間の公平性をふまえた見直し
- FIP 電源は当面、制御の対象になりにくいが、余剰が大きい日などは制御される。無制限・無補償ルールも適用される
- FIP 認定は2025年12月末で約6,830MW・2,647件。政府は FIP 移行を後押しする支援を強めている
出典・参考
- 資源エネルギー庁「出力制御の公平性の確保に係る指針」(2026年4月改定)
- 経済産業省・資源エネルギー庁「再エネ主力電源化に向けた今後の再生可能エネルギー政策について」(2026年6月3日)
- 経済産業省「第53回 系統ワーキンググループ 資料1」
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
QなぜFIP電源を後に制御するのですか?
FIP電源は、自ら発電計画を立て、予測の誤差に対応しながら需給に応じて発電する電源で、需給バランスへの貢献度合いが高いとされています。この性質と、電源間の公平性をふまえた見直しです。
QFITのまま続けると影響はありますか?
経済産業省の資料では、この見直しによりFIT電源の出力制御の確率は増加するとされています。FITのまま続ける場合も、売電収入の見通しを見直すきっかけになります。
QFIP認定はどのくらい増えていますか?
2025年12月末時点で、新規認定と移行認定を合わせて約6,830MW・2,647件(新規1,213件、移行1,434件)です。2024年3月時点から容量は3.9倍、件数は2.2倍になっています。