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FIP転換を検討するときのチェックポイント|制御区分・接続契約・蓄電池・発電予測

出力制御の順番変更や国の支援で、FITからFIPへの転換を検討する事業者が増えています。ただし、FIPにすれば必ず収益が増えるわけではありません。制御区分や接続契約、プレミアムの仕組み、発電予測、蓄電池の併設など、転換前に確かめたい点を整理しました。

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森の空き地で系統用蓄電池を点検する技術者と太陽光パネル
目次

出力制御の順番が FIT 電源→FIP 電源に変わることや、国の支援の強化を受けて、事業用太陽光で FIT から FIP への転換を検討する事業者が増えています。ただし、収益への影響は案件ごとに異なり、「FIP にすれば必ず収益が増える」とは言えません。この記事では、GX LAB 編集部が、資源エネルギー庁などの資料をもとに、転換を検討するときに確かめたい点を整理します。

出力制御の仕組み全体は、出力制御とは?の解説で解説しています。

この記事でわかること

  • FIP 制度の収入の仕組み
  • 転換前に確かめたい5つのポイント
  • 国の FIP 促進策
  • 判断するときの考え方

FIP 制度の収入の仕組み

FIP 制度では、発電した電気を、卸電力取引市場や相対取引で自ら売ります。そのうえで、基準価格(FIP 価格)から参照価格(市場取引などで期待される収入)を差し引いた「プレミアム単価」に、供給した電力量を掛けた「プレミアム」を受け取ります。プレミアムは1か月ごとに決まります。

  • FIT:価格が一定で、いつ発電しても収入は同じ
  • FIP:プレミアムが一定の考え方で上乗せされ、収入は市場価格に連動する。需要のピーク時に蓄電池などで供給を増やす動機が働く

なお、プレミアムは、出力制御が起きるような時間帯の電気供給には交付されません。

転換前に確かめたい5つのポイント

1. エリアと開始時期

出力制御の順番変更は、2026年度または2027年度に、システム改修が終わったエリアから順次始まります。自分の設備があるエリアの一般送配電事業者が、いつ運用を始めるかを確かめます。詳しくは出力制御の順番変更の解説で解説しています。

2. 今の出力制御ルールと接続契約

今の設備が、旧ルール(年間30日)、新ルール(太陽光は年間360時間)、無制限・無補償のどれで接続しているかを確かめます。FIP 電源には無制限・無補償ルールが適用されるため、上限つきのルールで接続している場合は、順番の利点と、上限がなくなる条件の両方を比べる必要があります。

あわせて、ノンファーム型接続かどうかも確かめます。ノンファーム型の設備は、送電線の混雑による出力制御を受ける可能性があり、FIP に移ってもこのリスクは残ります。詳しくは送電線の混雑による出力制御の解説で取り上げています。

3. 出力制御の実績と、代理制御の精算

エリアの過去の出力制御の実績と、自分の設備の売電収入への影響を確かめます。オンライン代理制御の精算を含めて、実際にどれだけ収入が減っているかを把握しておくと、転換の効果を見積もりやすくなります。

4. 発電予測・インバランス・アグリゲーター

FIP では、自ら発電計画を立て、予測と実績のずれ(インバランス)に対応する必要があります。多くの事業者は、こうした業務をアグリゲーターなどに任せます。委託の費用や条件を確かめておきます。

国は、FIP 電源の供給シフトを円滑にするため、バランシングコストを増額しています(2025年度は+1.00円/kWh)。また、2025年9月末から、全国のアグリゲーターの FIP 事業者向けのプランを資源エネルギー庁のホームページで公開し、マッチングの仕組みをつくっています。

5. 蓄電池を併設するか

FIP では、蓄電池を使って、市場価格の高い時間帯に供給をずらすことで収益を高められる可能性があります。一方で、蓄電池の設備費用がかかります。

FIT から FIP に移り、あとから蓄電池を設置する場合の価格の扱いには、ルールがあります。2026年度の FIT・FIP 制度ガイドブックでは、FIT 認定から FIP 認定に移行して蓄電池を設置した場合、基準価格は最新の価格ではなく、過積載率に応じた想定値を使って算定した加重平均値に変更されるとしています。国は、FIP 移行と同時に蓄電池を設置する場合の手続きの迅速化(2025年9月運用開始)も進めています。

国の FIP 促進策

経済産業省は、「将来的には全再エネ電源について FIP 移行が望ましい」という方針のもと、まずは FIT/FIP 全体の約25%が FIP に移るまでの間、集中的に支援を強めるとしています。参照価格などの情報開示、FIP 併設の蓄電池の系統充電の拡大、非化石証書の直接取引の拡大なども挙げられています。2025年12月末時点の FIP 認定は、約6,830MW・2,647件(うち FIT からの移行1,434件)に増えています。

判断するときの考え方

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

FIP 転換は、「出力制御の順番で有利になる」「国の支援がある」という利点と、「制御の上限がなくなる」「市場価格の変動や予測・インバランスの費用を負う」という条件の両方を、案件ごとに数字で比べて判断するものです。次の順で整理すると比べやすくなります。

  • 今の FIT の売電収入と、出力制御・代理制御精算による減少分を把握する
  • FIP に移った場合の、プレミアムを含む収入の見込みと、委託費用などを見積もる
  • 蓄電池を併設する場合の、設備費用と運用の効果を見積もる
  • エリアの順番変更の開始時期と、出力制御の見通しを確かめる

まとめ

  • FIP の収入は市場価格に連動し、出力制御が起きる時間帯にはプレミアムが交付されない
  • 転換前に、エリアの開始時期、今の制御ルールと接続契約、制御実績、予測・インバランスの体制、蓄電池の併設を確かめる
  • FIP には無制限・無補償ルールが適用され、ノンファーム型接続の制御リスクも残る
  • 国は FIP 移行を後押ししているが、収益への影響は案件ごとに比べて判断する

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

QFIPにすれば収益は増えますか?
A

必ず増えるとは言えません。出力制御の順番で有利になる一方、無制限・無補償ルールの適用や、市場価格の変動、発電予測・インバランス対応の費用などが生じます。案件ごとに数字で比べて判断する必要があります。

QFIPのプレミアムとは何ですか?
A

基準価格(FIP価格)から参照価格(市場取引などで期待される収入)を差し引いたプレミアム単価に、供給した電力量を掛けたものです。1か月ごとに決まり、出力制御が起きるような時間帯の電気供給には交付されません。

QFIP移行と同時に蓄電池を設置できますか?
A

できます。国は、FIP移行と同時に蓄電池を設置する場合の手続きの迅速化を2025年9月から運用しています。ただし、FIT認定からFIP認定に移行して蓄電池を設置した場合の基準価格の扱いにはルールがあるため、事前に確認が必要です。

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