オンライン代理制御とは?オフライン設備の制御を肩代わりする仕組みと売電の精算
オンライン代理制御(経済的出力制御)は、遠隔で制御できる太陽光設備が、手動で制御する設備の分も代わりに出力制御し、あとで売電代金を精算する仕組みです。対象、3つの事業者区分、精算のタイミングと考え方、制御量の低減効果を整理しました。

目次
太陽光の出力制御の明細を見て、「実際には発電していたのに、制御したことになっている」「制御していないのに、売電代金が増えている」と感じたことはないでしょうか。その理由の一つが「オンライン代理制御」です。この記事では、GX LAB 編集部が、資源エネルギー庁の資料をもとに、仕組みと売電代金の精算の考え方を整理します。
出力制御の仕組み全体は、出力制御とは?の解説で解説しています。
この記事でわかること
- オンライン代理制御とは何か
- 対象となる設備
- 3つの事業者区分
- 売電代金の精算のタイミングと考え方
- 制御量の低減効果
オンライン代理制御とは
出力制御には、遠隔で出力を制御できる機器を付けた設備による「オンライン制御」と、機器のない設備を手動で止める「オフライン制御」があります。オンライン制御のほうが、実際の需給に近い柔軟な運用ができ、制御量も減らせます。
オンライン代理制御(経済的出力制御)は、オフライン制御の事業者が本来行うべき出力制御を、オンライン制御の事業者が代わりに行う仕組みです。
- オフラインの事業者:実際には出力制御をせずに発電・供給を続ける
- オンラインの事業者:自分の分に加えて、オフラインの事業者の分も制御する
- 法令上の扱い:オフラインの事業者が出力制御を行い、オンラインの事業者が発電・供給を行ったものとみなす
オンラインの事業者は、代わりに制御した分について、自分の設備に適用されている調達価格で対価を受け取ります。逆に、オフラインの事業者は、本来制御されるはずだった時間帯の発電量について、対価が支払われません。太陽光で2022年4月から導入されています。
対象となる設備
- 対象:FIT 認定を受けた10kW 以上の太陽光発電設備
- 10kW 未満:当面の間は出力制御の実施対象外。ただし、複数太陽光発電設備設置事業の場合は、10kW 未満でもオンライン代理制御の対象
- 風力・離島の設備:オフライン設備の分を代わりに制御できるだけのオンライン設備がないため、当面は対象外
3つの事業者区分
通常の代理制御のスキームでは、出力制御の実施対象になる太陽光の事業者は、次の3つに分かれます。
- オフライン(手動)制御事業者:自ら手動で出力制御を行い、代理制御は行わない。旧ルール500kW 以上のオフライン設備が該当
- オフライン(代理)制御事業者:本来の出力制御をすべてオンラインの事業者に代わってもらう。手動での制御は行わない。旧ルール10kW 以上500kW 未満のオフライン設備が該当(一部エリアでは新ルールの同規模の設備も)
- オンライン制御事業者:自分の制御に加え、オフライン(代理)制御事業者の分も代わりに制御する
売電代金の精算
精算のタイミング
代理制御が行われた月(代理制御実施月)には、いったん、それぞれの事業者が実際に発電・供給した電力量に応じて買取料金が支払われます。そのうえで、代理制御実施月の2か月後または3か月後の「精算月」に、法令上発電・供給したとみなされた電力量を前提に精算します。精算に必要な発電量の実績がそろうのが早くても翌月末になるためです。
精算の結果は、買取義務者から発電事業者に通知されます。代理制御が行われなかった月は、精算は行われません。
精算の考え方
精算は、エリアごとに一般送配電事業者が「精算比率」を計算し、エリア全体のオンライン制御事業者とオフライン(代理)制御事業者の、それぞれの発電量に一律に掛けて行います。計算には、オンライン設備の制御量の推計(設備容量×日射量×換算係数)などが使われます。
その月に、実際に自分の設備が代理制御の対象になった時間の多い少ないにかかわらず、エリア全体のオンライン事業者と、代理制御の対象となるオフライン事業者のすべてが精算の対象になります。そのため、個々の設備の実際の停止電力量と、精算の金額は単純には一致しません。
制御量の低減効果
資源エネルギー庁は、オンライン制御が広がると、実際の需給に近い柔軟な調整ができるため、制御量の低減が期待されるとしています。九州エリアの2019年4月の制御実績をもとにした試算では、オンライン代理制御を導入した場合、再エネの出力制御量全体が2割程度減る効果が見込まれています。
事業者にとっての意味
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。
オフライン(代理)制御事業者は、実際に発電を止めていなくても、精算月に代理制御の分が売電代金から差し引かれます。売電収入が想定より少ないと感じたら、精算の通知を確かめてみるとよいでしょう。また、出力制御の機器を付けてオンライン化すると、扱いが変わる場合があります。自分の設備が当てはまるルールは、出力制御の3つのルールの解説で確認できます。FIP への転換を考える場合は、精算による減少分も含めて比べることが大切です。確認すべき点はFIP転換を検討するときのチェックポイントにまとめています。
まとめ
- オンライン代理制御は、オンラインの太陽光設備が、オフライン設備の分も代わりに出力制御する仕組み
- 対象は FIT 認定の10kW 以上の太陽光。風力・離島は当面対象外
- 精算は代理制御実施月の2か月後または3か月後に、エリア一律の精算比率で行われる
- 個々の設備の実際の停止量と精算額は一致しない。九州では制御量全体が2割程度減る試算がある
出典・参考
- 資源エネルギー庁「出力制御について|なるほど!グリッド」
- 資源エネルギー庁「経済的出力制御(オンライン代理制御)の精算方法等について」
- 資源エネルギー庁「2026年度 FIT・FIP制度ガイドブック」
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Qオンライン代理制御とは何ですか?
遠隔で出力を制御できるオンラインの太陽光設備が、手動で制御するオフライン設備の分も代わりに出力制御する仕組みです。法令上は、オフラインの事業者が制御し、オンラインの事業者が発電したものとみなして、あとで売電代金を精算します。
Q精算はいつ行われますか?
代理制御が行われた月には、いったん実際の発電量に応じて買取料金が支払われ、その2か月後または3か月後の精算月に、法令上発電したとみなされた電力量をもとに精算されます。代理制御が行われなかった月は精算されません。
Q精算額が実際の停止量と合わないのはなぜですか?
精算は、一般送配電事業者がエリアごとに計算した一律の精算比率を、エリア全体の対象事業者の発電量に掛けて行うためです。その月に自分の設備が実際に代理制御の対象になった時間の多い少ないにかかわらず、精算の対象になります。