エネルギー自給率を3〜4割へ|化石資源・水素・重要鉱物・CCUSの確保策
日本のエネルギー自給率は約1割台と、G7で最も低い水準です。第7次エネルギー基本計画は、2040年度に3〜4割程度へ高めることを見込みます。LNGの長期契約、資源の自主開発、水素の供給網、重要鉱物、CCUSなど、エネルギー安全保障の確保策を整理しました。

目次
日本は、すぐに使える資源に乏しく、エネルギーの多くを海外からの輸入に頼っています。第7次エネルギー基本計画は、エネルギー安全保障を重視した政策の立て直しが強く求められているとして、資源の確保策を幅広く示しました。この記事では、GX LAB 編集部が、エネルギー自給率の現状と見通し、資源ごとの確保策を整理します。
計画全体の流れは、第7次エネルギー基本計画の全体像で解説しています。
この記事でわかること
- 日本のエネルギー自給率の現状と2040年度の見通し
- 化石資源(LNG・石油・LPガス・石炭)の確保策
- 水素などの次世代エネルギーと CCUS の方向性
- 重要鉱物の確保策
エネルギー自給率の現状と見通し
計画は、日本のエネルギー自給率が2022年度時点で約12.6%と、G7の中で最も低いとしています。エネルギー基本計画の概要では、2023年度(速報値)が15.2%と示されています。
計画は、再エネや原子力などエネルギー安全保障に役立ち、脱炭素効果の高い電源を最大限活用して、自給率を高める必要があるとしています。2040年度のエネルギー需給の見通しが実現した場合、エネルギー自給率は3〜4割程度になると見込まれています。電源構成の見通しは、2040年度の電源構成の解説で取り上げています。
輸入に頼ることのリスク
計画は、2023年に、自動車や半導体製造装置などの輸出で得た金額の多くを、原油や天然ガスなどの鉱物性燃料の輸入にあてており、その総額は約26兆円に達したとしています。また、日本は原油の9割以上を中東に依存しています。
2026年8月に示された「パワーGX」の資料では、2024年度の原油輸入の中東依存度は95.9%とされています。中東情勢を受けて、化石燃料の調達先の多角化と、GX の加速による国内のエネルギー需給構造の強化という、2つの「強靱化」が打ち出されました。
化石資源の確保策
計画は、化石燃料は今もエネルギー供給の大部分を担っており、供給網は一度途絶すると元に戻すのが難しいとして、安定供給を確保しながら現実的に移行を進めるとしています。
LNG(液化天然ガス)
- 非効率な石炭火力を減らしていく中で、現実的な移行の手段として LNG 火力を活用する
- 価格の高騰や供給途絶に備え、官民一体で必要な LNG の長期契約を確保する
- 技術革新が進まず目標の実現が難しいケースも想定して、LNG の必要量を考えておく
自主開発の推進
日本企業が権益を持つ石油・天然ガスの割合(自主開発比率)を、2030年に50%以上、2040年に60%以上に引き上げることを目指すとしています。石炭の自主開発比率は、2040年に60%を維持するとしています。
石油・LPガス
災害の多い日本では、持ち運べて貯蔵できる石油製品や LPガスの安定調達と供給体制の確保が「最後の砦」として重要だとしています。石油備蓄・LPガス備蓄の水準を維持し、サービスステーション(SS)による供給網の維持・強化に取り組むとしています。
水素などの次世代エネルギー
計画は、水素とそれをもとにしたアンモニア・合成メタン・合成燃料を、カーボンニュートラルの実現に向けたカギとなるエネルギーと位置づけています。
- 水素の導入量の目標:2030年に最大300万トン/年、2040年に1,200万トン/年、2050年に2,000万トン/年
- 供給コストの目標:2030年に30円/Nm3(CIF 価格)、2050年に20円/Nm3以下
- 水素社会推進法にもとづく3兆円規模の「価格差に着目した支援」で、低炭素水素の供給網づくりを進める
CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)
電化や水素などでは脱炭素が難しい分野でも脱炭素を実現できる手段として、CCUS を不可欠なものと位置づけています。2024年5月に CCS 事業法が成立し、「先進的 CCS 事業」への支援を通じて、2030年までに年間貯留量600〜1,200万トンの確保にめどをつけることを目指しています。
重要鉱物の確保
銅やレアメタルなどの重要鉱物は、蓄電池、モーター、半導体などの製造に欠かせず、DX・GX の進展に伴う電力需要の増加への対応にも不可欠だとしています。一方、産地の偏りや加工工程の寡占など、鉱種ごとにさまざまな供給リスクがあります。
- 供給途絶に備えた十分な備蓄の確保と、柔軟な備蓄鉱種の入れ替え
- 有志国との連携による鉱山開発や、リサイクルを通じた供給源の多角化
- 国内の非鉄製錬所への投資支援と、国産の海洋鉱物資源の開発
企業にとっての意味
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。
エネルギーを輸入に頼る構造は、燃料価格の変動を通じて、電気代やガス代、原材料費に直接響きます。自社で使うエネルギーのうち、どれだけを省エネや再エネの自家消費でまかなえるかを考えることは、コストの安定にもつながります。国全体のエネルギー政策の方向性は、GX2040ビジョンのエネルギー政策の解説もあわせてご覧ください。
まとめ
- 日本のエネルギー自給率は約1割台で G7最低。2040年度に3〜4割程度へ高める見込み
- LNG の長期契約、資源の自主開発(2040年に60%以上)、備蓄で化石資源を確保する
- 水素は2040年に1,200万トン/年の導入が目標。3兆円規模の支援で供給網をつくる
- CCS は2030年までに年間600〜1,200万トンの貯留にめどをつけることを目指す
- 重要鉱物は、備蓄と供給源の多角化で確保する
出典・参考
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画」(2025年2月)
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」(2025年2月)
- 内閣官房 GX 実行推進室「エネルギー需給構造強靱化総合パッケージ(パワーGX)」(2026年8月26日)
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Q日本のエネルギー自給率はどのくらいですか?
エネルギー基本計画では2022年度時点で約12.6%とされ、G7の中で最も低い水準です。計画の概要では、2023年度(速報値)が15.2%と示されています。
Q2040年度のエネルギー自給率はどのくらいになる見込みですか?
2040年度のエネルギー需給の見通しが実現した場合、3〜4割程度になると見込まれています。再エネや原子力などの脱炭素電源を最大限活用することで、輸入に頼る化石燃料の割合を下げることが前提です。
Q水素の導入目標はどのくらいですか?
2030年に最大300万トン/年、2040年に1,200万トン/年、2050年に2,000万トン/年の導入を目指すとされています。水素社会推進法にもとづく3兆円規模の価格差に着目した支援で、供給網づくりを進めるとしています。