2040年度の電源構成|再エネ4〜5割・原子力2割・火力3〜4割の見通し
第7次エネルギー基本計画とあわせて示された2040年度のエネルギー需給の見通しでは、再エネ4〜5割程度、原子力2割程度、火力3〜4割程度の電源構成が描かれています。数字の中身と、幅を持たせた理由、複数シナリオの考え方を整理しました。

目次
2040年に、日本の電気はどの電源でつくられているのか。第7次エネルギー基本計画とあわせて、資源エネルギー庁が「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」を示しました。いわゆる2040年度のエネルギーミックスです。この記事では、GX LAB 編集部がその数字の中身と読み方を整理します。
計画全体の流れは、第7次エネルギー基本計画の全体像で解説しています。
この記事でわかること
- 2040年度の電源構成の見通し(電源ごとの割合)
- 電力需要や発電電力量、エネルギー自給率の見通し
- 数字に「幅」がある理由と、複数シナリオの考え方
- 見通しを読むときの注意点
2040年度の電源構成の見通し
資源エネルギー庁の資料をもとに、2023年度(速報値)と2040年度(見通し)を並べると、次のとおりです。
- 再生可能エネルギー:22.9% → 4〜5割程度
- 太陽光:9.8% → 23〜29%程度
- 風力:1.1% → 4〜8%程度
- 水力:7.6% → 8〜10%程度
- 地熱:0.3% → 1〜2%程度
- バイオマス:4.1% → 5〜6%程度
- 原子力:8.5% → 2割程度
- 火力:68.6% → 3〜4割程度
火力が約7割を占める今の構成から、再エネを最大の電源にし、原子力と合わせて脱炭素電源を6〜7割程度にする姿が描かれています。中でも太陽光は、今の2〜3倍の割合を見込んでいます。
電力需要と発電電力量
注目したいのは、電気の使用量が増える前提になっている点です。
- 発電電力量:2023年度 9,854億 kWh → 2040年度 1.1〜1.2兆 kWh 程度
- 電力需要:2022年度 0.90兆 kWh → 2040年度 0.9〜1.1兆 kWh 程度
部門別に見ると、産業部門の電力需要は2022年度の0.32兆 kWh から、2040年度に0.38〜0.41兆 kWh 程度に増える見通しです。運輸部門も、電動車の普及などで0.02兆 kWh から0.04〜0.10兆 kWh 程度に増えるとしています。一方、業務部門や家庭部門は、横ばいからやや減る見通しです。
データセンターや半導体工場の増設、製造業の電化が進むことが背景にあります。エネルギー消費全体は省エネで減らしながら、電気の使用は増える、という姿です。
エネルギー自給率と CO2
- エネルギー自給率:2023年度 15.2% → 2040年度 3〜4割程度
- 最終エネルギー消費量:3.0億 kL → 2.6〜2.7億 kL 程度
- 温室効果ガスの削減割合(2013年度比):22.9%(2022年度実績) → 73%
再エネと原子力を増やすことで、輸入に頼る化石燃料の割合を下げ、自給率を2倍以上に高めることを見込んでいます。資源の確保策は、エネルギー自給率と資源の確保策の解説にまとめています。
なぜ数字に「幅」があるのか
単一の前提に頼らない
2040年度の見通しは、数字に幅を持たせて示されました。資料は、2040年に向けて技術の進み方や国際情勢、DX・GX の進展に不確実な要素が多く、単一の前提ありきで示すのは難しいと説明しています。
5つのシナリオで分析
資料では、次の5つのシナリオを設定して分析しています。
- 再エネ拡大:ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力などのコストが大きく下がり、再エネが広がる
- 水素・新燃料活用:水素などの製造コストが大きく下がり、水素・アンモニア火力や合成燃料などが広がる
- CCS 活用:CO2の回収・貯留のコストが下がり、化石燃料を一定程度使いながら CCS が広がる
- 革新技術拡大:さまざまな革新技術がバランスよく広がる
- 技術進展:革新技術のコスト低減が十分に進まず、既存技術を中心に導入が進む
これらのシナリオの数字の幅をもとに、見通しの各指標が設定されています。
73%に届かないシナリオも参考に
資料では、2040年度に73%削減に至る場合に加えて、届かない場合(61%削減)のシナリオも参考値として示されています。たとえば、2040年度の天然ガスの一次エネルギー供給量は、73%削減の場合は5,300〜6,100万トン程度ですが、61%削減のシナリオでは7,400万トン程度とされています。脱炭素技術が期待ほど進まなかった場合にも安定供給を守れるよう、LNG の確保を考えておく、という考え方です。
見通しを読むときの注意点
資料は、2040年度の見通しで示した水準は「導入の上限やキャップ」ではないとしています。技術革新などで、示した水準を超えて導入が進むことも考えられます。また、状況が大きく変われば、必要に応じて見直すとしています。
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。電源構成の数字は、国の目標であると同時に、企業にとっては「将来の電気がどんな電源でつくられるか」の目安になります。再エネの割合が増えれば、電気の CO2 排出係数は下がっていく方向です。一方で、系統整備や調整力のための費用もかかります。再エネを増やすための課題は再エネの主力電源化と5つの課題で、GX2040ビジョンのエネルギー政策はGX2040ビジョンのエネルギー政策の解説で整理しています。
まとめ
- 2040年度の電源構成は、再エネ4〜5割程度、原子力2割程度、火力3〜4割程度の見通し
- 発電電力量は1.1〜1.2兆 kWh 程度と、今より増える前提
- エネルギー自給率は15.2%から3〜4割程度へ高まる見込み
- 不確実性をふまえ、5つのシナリオにもとづいて数字に幅を持たせている
- 示された水準は上限ではなく、状況に応じて見直される
出典・参考
- 資源エネルギー庁「2040年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)」(2025年2月)
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」(2025年2月)
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Q2040年度の電源構成はどうなる見通しですか?
資源エネルギー庁の見通しでは、再生可能エネルギーが4〜5割程度、原子力が2割程度、火力が3〜4割程度です。再エネのうち太陽光は23〜29%程度、風力は4〜8%程度、水力は8〜10%程度とされています。
Q見通しの数字はなぜ幅があるのですか?
2040年に向けては、技術の進み方や国際情勢、DX・GXの進展に不確実な要素が多いため、単一の前提ではなく、5つのシナリオにもとづく分析の幅をもとに見通しを示しているためです。
Q見通しの数字は上限なのですか?
資料では、示した水準は導入の上限やキャップではないとされています。技術革新などで、示した水準を超えて導入が進むことも考えられ、状況が大きく変化した場合は必要に応じて見直すとしています。