再エネの主力電源化と5つの課題|太陽光・ペロブスカイト・地熱の導入方針
第7次エネルギー基本計画は、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとしています。導入にあたっての5つの課題と対応策、屋根置き太陽光やペロブスカイト太陽電池、地熱の導入方針を、企業や施設の担当者向けに整理しました。

目次
第7次エネルギー基本計画は、再生可能エネルギーを「主力電源」として最大限導入するとしています。2040年度の電源構成の見通しでは、再エネは4〜5割程度と、最も大きな電源になる見込みです。一方で、計画は導入にあたっての課題も率直に挙げています。この記事では、GX LAB 編集部が、5つの課題と対応策、太陽光を中心とした導入方針を整理します。
計画全体の流れは第7次エネルギー基本計画の全体像、電源構成の数字は2040年度の電源構成の解説で解説しています。
この記事でわかること
- 日本の再エネ導入の現状
- 再エネを増やすうえでの5つの課題と、その対応策
- 屋根置き太陽光とペロブスカイト太陽電池の導入方針
- 地熱など、ほかの再エネの方向性
日本の再エネ導入の現状
計画によると、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)の導入以降、電源構成に占める再エネの割合は、当時の約10%から2022年度には約22%まで広がりました。平地が少なく、海も急に深くなる地形という制約がある中で、再エネ全体の導入容量は世界第6位とされています。太陽光は、国土面積あたりの導入容量が主要国で最大です。
一方で、地域と共生しながら効率よく事業ができる適地が不足していることなどから、太陽光の年間導入量は FIT 導入当初に比べて減っているとしています。
再エネを増やすうえでの5つの課題と対応策
エネルギー基本計画の概要は、再エネの導入にあたっての課題と対応策を次のように整理しています。
1. 地域との共生 → 事業規律の強化
急速な導入拡大に伴って、安全面、防災面、景観、環境への影響、将来の廃棄などについて、地域の懸念が高まっているとしています。2024年に施行された改正再エネ特措法では、説明会の開催など周辺住民への事前周知を認定の基準にしたほか、関係法令に違反した事業者への交付金を一時停止する措置も入りました。
2. 国民負担の抑制 → FIP 制度や入札制度の活用
日本の再エネの発電コストは下がってきているものの、国際水準と比べると依然高いとしています。2024年度の再エネ賦課金は2.7兆円に達すると想定されています。入札制度の活用や、FIT・FIP 制度を前提にしないビジネスモデルを進めて、国民負担を抑えるとしています。再エネ賦課金の仕組みは、再エネ賦課金の使われ方の解説で紹介しています。
3. 出力変動への対応 → 地域間連系線の整備・蓄電池の導入
太陽光や風力は、天候や時間帯で発電量が変わります。地域間連系線の整備、蓄電池や揚水発電の活用で調整力を確保し、再エネの出力制御の量を減らすとしています。市場価格に連動する FIP 制度を広げて、発電事業者が蓄電池で供給をずらすなど、需給に応じた行動をとるよう促すとしています。
4. イノベーションとサプライチェーン → 次世代技術の導入
建物の屋根や壁面、水深の深い海域など、新しい適地を開拓する技術が重要だとしています。太陽光パネルの生産は海外依存度が高いため、国内に強いサプライチェーンをつくることも課題に挙げています。
5. 使用済太陽光パネル → 廃棄・リサイクルの制度整備
太陽光パネルの排出量は、2030年代後半以降に大きく増えると想定されています。事業用太陽光の廃棄費用は2022年7月から原則として外部積立てが求められており、さらにリサイクルを義務づける制度も含めた新しい制度の検討を進めるとしています。
太陽光の導入方針
まずは屋根置きから
計画は、地域と共生しやすく、自家消費で系統への負荷も低い屋根置き太陽光を、まず積極的に活用するとしています。
- 公共部門:国が率先して、設置可能な建築物などの約50%(2030年)、100%(2040年)に太陽光を設置することを目指す
- 民間部門:工場・オフィスなどで、ZEB や自家消費型の事業の普及、建材一体型の設備の導入などを進める
- 住宅:2030年に新築戸建住宅の6割に太陽光を設置することを目指す
自家消費の考え方は、自家消費という発想転換も参考になります。
ペロブスカイト太陽電池
軽くて曲げられるペロブスカイト太陽電池は、これまで設置が進まなかった耐荷重の低い屋根や壁面への設置を広げる技術として期待されています。
- 発電コスト:2025年までに20円/kWh、2030年までに14円/kWh、2040年までに10〜14円/kWh 以下を目指す
- 生産体制:2030年を待たずに GW 級の構築を目指す
- 導入目標:2040年に約20GW
ほかの再エネの方向性
- 地熱:日本の地熱資源のポテンシャルは世界第3位。JOGMEC が自ら調査して開発リスクを下げる「地熱フロンティアプロジェクト」を立ち上げる。今の4倍以上にポテンシャルを広げる可能性がある次世代型地熱の開発も進める
- 水力:地方公共団体が主導する中小水力の開発を促す
- 再エネ熱:太陽熱や地中熱、下水熱などの導入を支援する
まとめ
- 再エネの割合は FIT 導入時の約10%から2022年度に約22%へ。2040年度は4〜5割程度を見込む
- 地域との共生、国民負担、出力変動、サプライチェーン、使用済パネルの5つが課題
- 太陽光は、地域共生しやすく系統負荷の低い屋根置きを優先する
- ペロブスカイト太陽電池は2040年に約20GW の導入が目標
出典・参考
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画」(2025年2月)
- 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」(2025年2月)
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Q再エネの主力電源化とは何ですか?
再生可能エネルギーを、電源構成の中で最も大きな割合を担う電源にしていくことです。2040年度の見通しでは、再エネは4〜5割程度とされています。
Q再エネを増やすうえでの課題は何ですか?
エネルギー基本計画の概要では、地域との共生、国民負担の抑制、出力変動への対応、イノベーションの加速とサプライチェーン構築、使用済太陽光パネルへの対応の5つが挙げられています。
Qペロブスカイト太陽電池の導入目標はどのくらいですか?
2040年に約20GWの導入が目標とされています。発電コストは2030年までに14円/kWh、2040年までに10〜14円/kWh以下を目指して技術開発を進めるとしています。