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排出量取引制度の対象企業とは?直接排出10万トン・3年度平均の判定方法と共同届出

排出量取引制度(GX-ETS)の対象は、CO2の直接排出量の直近3年度平均が10万トン以上の事業者です。対象になる排出の範囲、年度平均排出量の計算方法と例外、事業者の範囲、子会社などと一体で義務を果たす共同届出の要件を整理しました。

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目次

排出量取引制度(GX-ETS)では、国が対象企業を指定して知らせることはありません。毎年度、事業者が自ら「対象になるかどうか」を確かめる必要があります。この記事では、GX LAB 編集部が、経済産業省の資料をもとに、判定の方法と、グループ会社と一体で義務を果たす共同届出の仕組みを整理します。

制度の全体像は、排出量取引制度(GX-ETS)とは?の解説で解説しています。

この記事でわかること

  • 対象になる基準と、対象になる排出の範囲
  • 年度平均排出量の計算方法と例外
  • 事業者に当たるもの・当たらないもの
  • 共同届出の要件

対象になる基準

制度の対象は、前年度までの直近3年度の CO2の直接排出量を平均した量(年度平均排出量)が10万トン以上の事業者です。

  • 年度は、事業年度にかかわらず4月1日から翌年3月31日まで
  • 判定は毎年度行い、10万トン以上の年度は対象、下回る年度は対象外になる
  • 10万トン未満の場合は届出不要。下回っていることを届け出る必要もない

10万トンという基準の考え方

産業構造審議会の小委員会の資料によると、EU や英国は直接排出2.5万トン以上の設備、韓国は直接・間接排出の合計12.5万トン以上の企業を対象にしています。日本は、省エネ法や温対法との整合性や、GX リーグで企業単位の取り組みを求めてきたことから、事業者単位の制度としました。そのうえで、諸外国と同程度の規模の排出源をとらえるため、直接排出10万トンを基準にしています。対象事業者は300〜400社程度、カバー率は日本の温室効果ガス排出量の60%近くになる見込みです。

対象になる排出の範囲

  • 直接排出(Scope1):燃料の燃焼や、製品の製造など、自らの活動で直接排出する CO2
  • 間接排出(Scope2)は対象外:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う排出
  • CO2のみ:メタンなど CO2以外の温室効果ガスは対象外
  • 輸送:一定以上の輸送能力を持つ事業者は、輸送事業に係る直接排出量も合算する

判定のときは、カーボン・クレジットの無効化量や、他者への移転量は考慮しません。

年度平均排出量の計算方法

原則は、前年度・2年度前・3年度前の CO2直接排出量を合計して3で割ります。

セットアップマニュアルの例では、2023〜2025年度の排出量が10.2万トン、10万トン、10.1万トンの事業者は、平均10.1万トンで2026年度は対象になります。翌年の2026年度に9.2万トンに減ると、2024〜2026年度の平均は約9.77万トンで、2027年度は対象外です。

例外:最近事業を始めた場合

  • 2年度前に事業を始めた場合:直近2年度の平均で判定
  • 前年度に事業を始めた場合:前年度の排出量で判定

なお、災害や法令点検、工場の休廃止などで排出量が大きく落ち込んだ年度があっても、補正は行いません。合併や事業譲渡があった場合も、判定はあくまで事業者単位で、消滅会社の過去の排出量を足したり、譲渡した事業の過去の排出量を差し引いたりする調整はしません。

事業者に当たるもの・当たらないもの

対象になるのは、法人格を持ち、事業を行う者で、国内に本店などを持つ法人または個人です。

  • 当たるもの:株式会社、合同会社、一般社団法人、国立大学法人などの公共法人、宗教法人などの公益法人、協同組合、特定目的会社(SPC)など
  • 当たらないもの:同業者団体などの人格のない社団、組合、匿名組合、投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP)など

当たらない事業体であっても、法人格を持つ構成員が、エネルギー管理の権限や負担の割合に応じて排出量を自社の分として計上し、判定する必要があります。

共同届出の仕組み

義務は原則として事業者ごとに果たしますが、一定の要件を満たせば、密接な関係にある会社(密接関係者)と共同で届け出ることができます。GX リーグでは、参加企業の約4割が子会社などを含めたグループ単位で目標を設定していたことをふまえた仕組みです。

共同届出の3つの要件

  1. 密接関係者であること:子会社、関連会社、兄弟会社(同じ直接の親会社を持つ子会社)
  2. 密接関係者も制度の対象(10万トン以上)であること
  3. 密接関係者と一体的に GX 投資を行っていること

共同届出をすると、届け出た事業者が、密接関係者の分も含めて、排出枠の割当てを受けるための届出、排出実績量の算定・確認・報告、排出枠の保有義務、移行計画の提出をまとめて行います。密接関係者は個別の手続きが不要になります。ただし、対象かどうかの判定は事業者ごとに行います。制度の対象でない親会社が、対象の子会社の分を含めて届け出ることはできません。

一度組んだ共同届出体は、その年度の義務がすべて終わるまで変えられず、同時に複数の共同届出体に入ることもできません。

判定で気をつけたいこと

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

10万トンに近い事業者は、年度によって対象になったりならなかったりします。毎年度の判定に加え、対象になった年度は4月1日から排出実績量の算定が必要になるため、前年度のうちに見込みを立てておくことが大切です。対象になった場合に割り当てられる排出枠の量は、排出枠の割当て方式の解説で取り上げています。2026年度の手続きの流れは、排出量取引制度の手続きとスケジュールの解説にまとめています。

まとめ

  • 対象は、CO2の直接排出量(Scope1)の直近3年度平均が10万トン以上の事業者
  • 判定は毎年度、事業者単位で自ら行う。国からの通知はない
  • 間接排出や CO2以外のガスは対象外
  • 子会社・関連会社・兄弟会社で、ともに対象になる場合は、共同届出で一体的に義務を果たせる

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q年度平均排出量はどう計算しますか?
A

前年度・2年度前・3年度前のCO2直接排出量を合計して3で割ります。2年度前に事業を始めた場合は直近2年度の平均、前年度に始めた場合は前年度の排出量で判定します。災害や工場の休廃止で排出量が落ち込んだ年度があっても補正はしません。

Q電気の使用に伴う排出も含まれますか?
A

含まれません。対象は燃料の燃焼や製品の製造など自ら直接排出するCO2(Scope1)で、他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)は対象外です。メタンなどCO2以外の温室効果ガスも対象外です。

Q子会社とまとめて届け出ることはできますか?
A

子会社・関連会社・兄弟会社で、その会社も制度の対象(10万トン以上)であり、一体的にGX投資を行っている場合は、共同届出ができます。届け出た事業者が、密接関係者の分も含めて届出、報告、排出枠の保有、移行計画の提出をまとめて行います。

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