次世代エネルギー革新技術|ペロブスカイト・光電融合・水素・次世代革新炉・次世代型地熱の現在地
エネルギー白書2025は、2050年カーボンニュートラルに向けて日本企業が持つ次世代エネルギー技術のイノベーションが欠かせないとして、ペロブスカイト太陽電池、浮体式洋上風力、光電融合、水素等、次世代革新炉、次世代型地熱発電を紹介しています。それぞれの特長と課題を整理しました。

目次
エネルギー白書2025は、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現して2050年カーボンニュートラルを目指すには、日本企業が持つ次世代エネルギー技術の非連続的なイノベーションに取り組み、ビジネスにつなげることが欠かせないとしています。この記事では、GX LAB 編集部が、白書で紹介された技術の特長と課題を整理します。
白書全体の流れは、エネルギー白書2025のポイントで解説しています。
この記事でわかること
- 白書が紹介する次世代エネルギー革新技術
- それぞれの技術の特長と、日本の強み・課題
- 企業にとっての意味
ペロブスカイト太陽電池
「軽くて柔らかい」という特長を持つ次世代型の太陽電池です。
- 特長:これまで設置が難しかった、耐荷重の小さい屋根や壁面などへの導入が期待される
- 日本の強み:国際的に開発競争が激しくなる中、製品化のカギとなる耐久性・大型化の技術で世界をリードしている
- 課題:耐久性と発電効率をさらに高める技術開発と、世界に引けをとらない量産体制の構築
導入目標などの国の方針は、再エネの主力電源化と5つの課題の解説で紹介しています。
浮体式洋上風力
風車を海底に固定せず、海に浮かべた構造物に設置する方式です。
- 特長:水深の深い沖合など、海底に固定する方式(着床式)が難しい海域でも設置できる
- 日本の強み:日本が強みを持つ造船技術などを使った量産化が期待される
- 課題:低コストでの量産化に向けた、グローバルな連携による設計手法の開発と、サプライチェーンの構築
光電融合
電気信号の代わりに、光信号でデータの処理や通信を行う技術です。
- 特長:大容量・低遅延・低消費電力を実現し、データ量や電力需要の増加に対応できる
- 日本の強み:光電融合デバイスの開発競争が激しくなる中、高温への耐性や長期の信頼性で世界をリードしている
- 期待:IOWN 構想と連携したさらなる差別化と、世界に先駆けた量産体制の構築による、早期の市場獲得
データセンターの電力需要が増える中で、消費電力を抑えるカギになる技術の一つです。
水素等(水素・アンモニア・合成燃料・合成メタン)
鉄鋼・化学・モビリティ・産業の熱・発電など、幅広い分野の脱炭素のカギになる次世代の燃料です。
- 日本の強み:水素などを「つくる」水電解装置の要素部材、「はこぶ」海上輸送技術、「つかう」発電などの分野で世界をリードしている。合成燃料や合成メタンも活用拡大に向けた取り組みが進んでいる
- 期待:技術をいち早く商用化し、需要の拡大が見込まれる国内外の市場に早く参入すること
次世代革新炉
安全性やエネルギー効率を高めた次世代の原子炉です。革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、フュージョンエネルギーがあります。
- 特長:安全性の向上に加え、脱炭素の電力供給にとどまらず、分散型のエネルギー供給、廃棄物の減容化・有害度の低減、カーボンフリーな水素・熱の供給など、炉型ごとに特長がある
- 進み具合:革新軽水炉では事業者と規制当局の意見交換や新しい安全対策の技術開発、小型軽水炉では日米企業による要素技術の実証に向けた研究開発、高速炉・高温ガス炉では実証炉の開発、フュージョンエネルギーではスタートアップなどによる多様な炉型の技術開発が進んでいる
次世代型地熱発電
日本の地熱発電のポテンシャルを最大限に生かすための技術です。
- クローズドループ方式:候補地の拡大が期待される。商用化は海外企業が先行している
- 超臨界地熱発電:発電効率の向上・大規模化が期待される。各国とも技術開発の段階
- 期待:海外の先行企業と連携しながら、日本国内を含めた実証プロジェクトを加速し、世界に先駆けて商用化のノウハウを確立すること
そのほかの技術
白書は、メタンハイドレートなどの国内資源の開発、太陽熱や地中熱などの再エネ熱、波力・潮力などの海洋エネルギー、ディマンドリスポンス、CDR(CO2の除去)などの技術にも取り組むとしています。
企業にとっての意味
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。
これらの技術の多くは、国の成長戦略でも重点分野とされ、支援が集中しやすい分野です。直接技術を開発する企業でなくても、部材、設備、施工、保守などで関わる余地があります。重点分野ごとの国の目標は、日本成長戦略のGX重点分野の解説で紹介しています。
まとめ
- 白書は、日本企業の次世代エネルギー技術のイノベーションをビジネスにつなげることが欠かせないとしている
- ペロブスカイト太陽電池は耐久性・大型化、光電融合は高温耐性・長期信頼性で世界をリード
- 水素等は「つくる・はこぶ・つかう」の各分野で世界をリードし、早期の商用化が期待される
- 次世代革新炉、次世代型地熱は、炉型・方式ごとに実証や開発が進んでいる
出典・参考
- 資源エネルギー庁「エネルギー白書2025について(令和6年度エネルギーに関する年次報告)」(概要版)
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Q光電融合とは何ですか?
電気信号の代わりに光信号でデータの処理や通信を行う技術です。大容量・低遅延・低消費電力を実現でき、データ量や電力需要の増加への対応が期待されています。白書によると、日本は高温耐性や長期信頼性で世界をリードしています。
Q次世代型地熱発電とは何ですか?
クローズドループ方式や超臨界地熱発電など、地熱発電のポテンシャルを広げる新しい技術です。クローズドループ方式は候補地の拡大、超臨界地熱発電は発電効率の向上や大規模化が期待されています。
Q次世代革新炉にはどんな種類がありますか?
白書では、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、フュージョンエネルギーが挙げられています。安全性の向上に加え、分散型のエネルギー供給や水素・熱の供給など、炉型ごとに特長があるとされています。