GX LAB
ナレッジ

CO2以外の温室効果ガス対策|代替フロン・メタン・一酸化二窒素と非エネルギー起源CO2の削減策

地球温暖化対策計画は、CO2以外の温室効果ガスにも削減目標を定めています。業務用冷凍空調機器の冷媒に使われる代替フロンは2040年度に72%減が目標です。フロンの漏えい防止や回収、メタン・一酸化二窒素、非エネルギー起源CO2の対策を整理しました。

公開日
Share
左に田植え後の水田が広がる農村、右に業務用空調の室外機が並ぶ建物の屋上、奥に氷河の残る山。稲と冷媒を示すアイコンが浮かぶ
目次

温室効果ガスというと CO2が注目されがちですが、地球温暖化対策計画は、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等4ガスにも削減目標を定めています。中でも、業務用の冷凍空調機器の冷媒に使われる代替フロンは、事業者に直接関わる対策が多い分野です。この記事では、GX LAB 編集部が、CO2以外の温室効果ガスの目標と対策を整理します。

計画全体の流れは、地球温暖化対策計画の全体像で解説しています。

この記事でわかること

  • CO2以外の温室効果ガスの種類と削減目標
  • 代替フロンの排出が増えてきた理由と、主な対策
  • メタンと一酸化二窒素の対策
  • 非エネルギー起源 CO2の対策
  • 事業者が押さえておきたいポイント

対象となるガスと目標

計画は、CO2、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六ふっ化硫黄(SF6)、三ふっ化窒素(NF3)を削減の対象にしています。CO2以外の主な目標は次のとおりです(2013年度比)。

  • 非エネルギー起源 CO2:2030年度15%減、2040年度29%減
  • メタン:2030年度11%減、2040年度25%減
  • 一酸化二窒素:2030年度17%減、2040年度31%減
  • 代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF6、NF3):2030年度44%減、2040年度72%減

部門別・ガス別の目標の数字は、部門別・ガス別の削減目標の解説で一覧にしています。

代替フロン:排出が増えてきたガス

なぜ増えてきたのか

計画によると、2022年の代替フロン等4ガスの排出量は3,851万トンで、2013年比で33.3%増えていると推計されています。冷凍空調機器の冷媒が、オゾン層を壊すフロン(CFCs、HCFCs)から代替フロン(HFCs)へ切り替わってきたことが主な理由です。

HFCs の排出の約9割は冷凍空調機器の冷媒によるもので、機器を使っている間の漏えいと、廃棄するときの回収漏れが、排出量に大きく影響しています。冷凍空調機器からの HFCs の排出の約7割は、業務用冷凍空調機器(カーエアコンを除く)が占めています。

主な対策

  • 製造・輸入の削減:モントリオール議定書のキガリ改正にもとづき、HFCs の生産量・消費量を段階的に減らし、2036年には基準量から85%削減する
  • ノンフロン・低 GWP 化:地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒の開発や、省エネ型の自然冷媒機器の普及を進める。製品ごとに目標を課す指定製品制度の積極的な運用や、表示の充実を図る
  • 使用時の漏えい防止:フロン排出抑制法にもとづく点検などの管理の基準を守ること、漏えい量の報告・公表制度の運用、適切な充塡の徹底。IoT による常時監視システムで簡易点検に代えられるようになったことから、その普及を進める
  • 廃棄時の回収:機器を廃棄する人、解体業者、回収業者などが相互に確認できる仕組みを徹底する。回収率の低い廃家庭用エアコンについて、違法な回収業者などへの対策を強める

2025年に改正フロン排出抑制法の施行から5年が経つため、施行状況をふまえて必要な見直しを行うとしています。

メタンと一酸化二窒素

メタン

2022年度のメタンの排出量は2,990万トンで、2013年度比で8.6%減っています。主な対策は次のとおりです。

  • 水田:栽培期間中の「中干し」の期間を延ばすことなどで、水田からのメタンを減らす
  • 家畜:メタンの発生を抑える飼料添加物の給与や、排せつ物の管理方法の変更
  • 廃棄物:生ごみなどの有機性廃棄物の直接埋立量を減らす。最終処分場で、メタンが出にくい「準好気性埋立構造」を採用する

一酸化二窒素

2022年度の一酸化二窒素の排出量は1,730万トンで、2013年度比で13.3%減っています。農地での過剰な施肥を抑える効率的な施肥、家畜排せつ物の管理方法の変更、下水汚泥の焼却施設での燃焼の高度化などを進めるとしています。

非エネルギー起源 CO2

燃料を燃やすこと以外で出る CO2で、2022年度の排出量は7,260万トン、2013年度比で11.7%減っています。

  • 混合セメント:セメントの中間製品に高炉スラグなどを混ぜたセメントの生産・利用を広げる。国などの公共工事で率先して使う
  • 廃棄物の焼却量の削減:廃プラスチックや廃油などの焼却を減らす。分別収集の徹底や、プラスチックの資源循環の取り組みを進める
  • バイオマスプラスチック:石油由来のプラスチックを、バイオマスを原料とするプラスチックに置き換える

再資源化事業等高度化法の認定制度なども活用しながら進めるとしています。資源循環の取り組みは、環境省のGX加速策の解説でも紹介しています。

事業者が押さえておきたいポイント

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

業務用の冷凍・冷蔵ショーケースや空調機を使っている店舗やオフィス、工場は、フロン排出抑制法にもとづく点検や、廃棄時の適切な回収が求められます。機器を更新するときは、省エネ性能だけでなく、冷媒の種類(GWP の低い冷媒や自然冷媒かどうか)も比較の材料にすると、計画の方向性に沿った選択になります。

まとめ

  • 代替フロン等4ガスは2040年度に72%減が目標。排出の多くは冷凍空調機器の冷媒の漏えいと回収漏れ
  • HFCs は2036年に基準量から85%の生産・消費削減。低 GWP・自然冷媒への切り替えを進める
  • メタンは水田・家畜・廃棄物、一酸化二窒素は施肥・家畜・下水汚泥の対策が中心
  • 非エネルギー起源 CO2は、混合セメントや廃棄物の焼却量の削減で減らす

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q代替フロンの削減目標はどのくらいですか?
A

代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF6、NF3)は、2013年度比で2030年度に44%減、2040年度に72%減が目標です。HFCsの生産量・消費量は、キガリ改正にもとづいて2036年に基準量から85%削減します。

Q代替フロンの排出はどこから出ているのですか?
A

計画によると、HFCsの排出の約9割は冷凍空調機器の冷媒によるもので、機器使用時の漏えいと廃棄時の回収漏れが大きく影響しています。冷凍空調機器からの排出の約7割は業務用冷凍空調機器(カーエアコンを除く)です。

Q事業者は何をすればよいですか?
A

業務用の冷凍空調機器を使う事業者は、フロン排出抑制法にもとづく点検などで使用時の漏えいを防ぎ、廃棄時にはフロン類を確実に回収することが求められます。機器を更新するときは、GWPの低い冷媒や自然冷媒の機器も検討するとよいでしょう。

Share