環境省のGX加速策|再生資源のサプライチェーン強靱化とGX製品の需要創出
第17回GX実行会議で環境省は、金属や再生プラスチックなどの再生資源の供給を強くする取り組みと、ペロブスカイト太陽電池やグリーン鉄などGX製品の需要創出を示しました。2030年の再生材の目安や、住宅・建築物の脱炭素化への支援を整理しました。

目次
2026年8月26日の第17回 GX 実行会議で、環境大臣が「我が国の GX の加速に関する環境省の取組」を示しました。テーマは大きく2つで、再生資源の供給網(サプライチェーン)を強くすることと、GX 製品の需要をつくることです。この記事では、GX LAB 編集部がその要点を整理します。
この会議で示された政策パッケージの全体像は、パワーGXの全体像で解説しています。
この記事でわかること
- なぜ再生資源の確保が GX の課題になっているのか
- 2030年に目指す、金属の再生材の目安
- ペロブスカイト太陽電池やグリーン鉄など、GX 製品の需要をつくる取り組み
- 住宅・建築物の脱炭素化への支援
なぜ再生資源の確保が課題なのか
資料は、日本は石油や金属などの資源を輸入に頼っている一方で、国内のリサイクル原料の多くが焼却されたり、輸出されたりしていると指摘しています。中東情勢を受けて、ナフサの輸入を代替することをはじめ、資源の確保は急を要する課題になっています。ナフサをめぐる供給の混乱は、原油・ナフサの調達リスクの解説で取り上げています。
資料は、産業の競争力を高めるには、一次資源の安定供給の確保に加えて、二次資源である再生資源の質と量を確保し、利用を広げることで、国際的な資源の獲得競争で優位に立つことが重要だとしています。
再生資源の供給網を強くする
「循環経済行動計画」にもとづく取り組み
2026年4月に循環経済に関する関係閣僚会議で決定された「循環経済行動計画」にもとづき、次の2つを進めるとしています。
- 金属資源の2030年の再生材の供給目標(メタルリサイクル推進戦略)の実現
- ナフサの輸入代替として、再生プラスチックの国内での製造力の強化
そのため、多角的な経済的支援の仕組みなどで官民の投資を促し、日本の基幹産業が必要とする質・量の再生材を安定して供給できる体制をつくるとしています。
2030年に目指す姿(メタルリサイクル推進戦略)
- 鉄:革新電炉でつくるグリーン鉄の原料となる高品位の鉄スクラップを、追加で年間約200万トンを目安に確保する
- アルミニウム:板・棒製品(展伸材)の再生アルミ原料の比率の目安を約4割にする
- 銅:国産の電解銅の約3割を、電子機器のスクラップなどの再生原料由来にする
- 永久磁石:原材料の約3割をリサイクルでまかなう
制度と支援を一体で
脱炭素型のリサイクルに関わる設備の導入や技術実証の支援、再資源化事業等高度化法にもとづく認定制度などにより、制度と支援を一体で GX に貢献するとしています。令和9年度の概算要求案は663億5,100万円と事項要求で、そのうち GX 予算は200億8,000万円です。
あわせて、2026年4月には改正資源法が施行され、再生材の利用義務の対象として、再生プラスチックや、自動車・家電4品目・容器包装(食品などは除く)が指定されました(内閣官房の進捗資料より)。
GX 製品の需要をつくる
資料は、企業の GX 投資を促すため、ペロブスカイト太陽電池やグリーン鉄などの GX 製品について、政府による率先調達と、需要家への導入支援で需要をつくるとしています。
ペロブスカイト太陽電池
- 政府が保有する施設で、一定の供給力の確保とコストの低下を前提に、2035年に50〜70MW の導入を目指す
- 自治体や民間企業などへの導入支援を行う(令和9年度の概算要求案は280億円)
- 施工コストや施工方法の分析・共有、地域の施工・保守事業者の育成などで、施工費や人材不足などの課題を解消する
住宅・建築物の脱炭素化
- GX 志向型住宅への支援、窓リノベ事業などの既存住宅の断熱・省エネ改修の支援、ZEB 化の新築・改修への支援などを行う(令和9年度の概算要求案は1,547億円)
- 新築建築物の ZEB 化の補助事業では、令和6年度から建物のライフサイクルカーボン(建設から解体までの排出)を算定・削減する取り組みを、令和8年度から低炭素型の建材(鉄、コンクリート、木材)の活用を支援している
内閣官房の進捗資料によると、建築物のライフサイクルカーボンの評価制度をつくる改正建築物省エネ法が2026年7月に成立し、2028年度に制度が始まる予定です。GX 製品が評価される市場づくりは、GX産業構造と「GX価値の見える化」の解説で取り上げています。
企業にとっての意味
ここからは GX LAB 編集部の見立てです。
再生材の利用義務や目安が示されたことで、製品をつくる企業にとっては、再生材を安定して調達できるかが、これからの競争力に関わってきます。一方で、自社から出る金属くずや樹脂のくずは、質を保って分別すれば、価値のある再生資源として扱われる可能性があります。廃棄物の出し方を見直すことも、GX の取り組みの一つになると考えられます。省エネや設備更新に使える支援策は、企業向けの脱炭素補助金の全体像で整理しています。
まとめ
- 日本は資源を輸入に頼る一方、国内のリサイクル原料の多くを焼却・輸出している
- 「循環経済行動計画」にもとづき、金属の再生材の目標の実現と、再生プラスチックの国内製造力の強化を進める
- 2030年に、高品位の鉄スクラップ追加約200万トン、再生アルミ原料約4割などを目安にする
- ペロブスカイトは政府施設で2035年に50〜70MW を目指し、住宅・建築物の脱炭素化も支援する
出典・参考
- 環境省「我が国のGXの加速に関する環境省の取組」(第17回 GX 実行会議 資料3、2026年8月26日)
- 内閣官房 GX 実行推進室「我が国のGX政策・GX投資の進捗(参考資料)」(第17回 GX 実行会議 資料2、2026年8月26日)
※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問
Qなぜ再生資源の確保がGXの課題になっているのですか?
日本は石油や金属などの資源を輸入に頼る一方、国内のリサイクル原料の多くが焼却・輸出されています。中東情勢を受けてナフサの輸入代替をはじめ資源確保が急を要する課題となり、再生資源の質と量を確保して利用を広げることが重要とされています。
Q2030年の再生材の目安はどのくらいですか?
メタルリサイクル推進戦略では、高品位の鉄スクラップを追加で年間約200万トン確保する、展伸材の再生アルミ原料の比率を約4割にする、国産電解銅の約3割を再生原料由来にする、永久磁石の原材料の約3割をリサイクルでまかなう、といった目安が示されています。
QGX製品の需要創出とは何ですか?
ペロブスカイト太陽電池やグリーン鉄などのGX製品について、政府による率先調達と需要家への導入支援で需要をつくり、企業のGX投資を促す取り組みです。たとえば政府保有施設で、2035年にペロブスカイト太陽電池50〜70MWの導入を目指すとしています。