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原油・ナフサの調達リスクと供給の強靱化|ホルムズ海峡依存とパワーGXの対策

日本の原油はホルムズ海峡内に油田を持つ国からの調達が9割超、ナフサもホルムズ海峡経由が約5割です。中東情勢で起きた石油製品の供給の目詰まりと、パワーGXが示した調達先の多角化、ナフサ分の備蓄、設備対応などの対策を整理しました。

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ミニチュア模型のような石油化学コンビナート。岸壁に着くタンカー、石油タンク群、配管と蒸留塔、樹脂製品などが積まれた出荷倉庫
目次

2026年の中東情勢では、ホルムズ海峡をめぐる混乱で、原油だけでなくナフサなどの石油製品にも供給の偏りや流通の目詰まりが起きました。ナフサは、プラスチックや合成ゴム、塗料、繊維など、身の回りの多くの製品の原料です。この記事では、GX LAB 編集部が、2026年8月に示された「パワーGX」の資料をもとに、原油・ナフサの調達リスクと対策を整理します。

パワーGX の全体像は、パワーGXの全体像で解説しています。

この記事でわかること

  • 日本の原油・ナフサの調達が、どれだけホルムズ海峡に頼っているか
  • なぜナフサ由来の製品に供給の混乱が起きたのか
  • パワーGX が示した4つの対策
  • 企業が押さえておきたいポイント

ホルムズ海峡への依存の大きさ

パワーGX の資料によると、日本の調達の現状は次のとおりです。

  • 原油:ホルムズ海峡の内側に油田を持つ国からの調達が9割超
  • ナフサ:ホルムズ依存度の高い原油から精製したナフサも含めると、ホルムズ海峡を経由する調達が約5割
  • 原油輸入の中東依存度:2024年度に95.9%

資料は、原油の中東依存度は一度下がったものの、アジアの産油国の輸出余力の低下や、ロシアのウクライナ侵略などで調達先の選択肢が狭まり、近年再び高まっていたとしています。

なぜナフサ由来の製品に混乱が起きたのか

資料は、今回の混乱のきっかけの一つとして、ナフサが石油備蓄の対象になっていないことを挙げています。その結果、ナフサからつくられる石油化学製品で、供給の偏りや流通の目詰まりが起きたとしています。

ナフサは、エチレンやプロピレン、ベンゼンなどの基礎化学品になり、さらにポリエチレンやポリプロピレン、合成ゴム、ポリエステル繊維などの中間製品(川中製品)を経て、プラスチック製品やゴム製品、電子部品、塗料・接着剤、繊維製品などになります。原料の段階で供給が滞ると、幅広い業種に影響が広がります。

パワーGX が示した4つの対策

資料は、化学製品を含めた石油関連製品の供給構造を強くするため、次の4つを一体で進めるとしています。

1. 国家備蓄でナフサの利用分を確保

今の石油備蓄制度では、ナフサは備蓄の対象になっていません。そこで、原油の国家備蓄制度を活用し、今後はナフサの国内精製分も含めた形で原油の備蓄を確保するとしています。原油の形であれば長期の備蓄ができる、という考え方です。

2. 原油・ナフサの調達先の多角化

ホルムズ海峡のような特定のチョークポイント(輸送の要所)を経由しない調達は、輸送日数が長くなるなど、輸送費が割高になることがあります。資料は、こうした調達で安定的な輸送を確保するための費用を支援し、危機時と平時のリスク・コストを平準化する仕組みの導入を検討するとしています。仕組みの事務局は JOGMEC が担う予定です。

あわせて、安定供給に必要な保険の引き受け能力を含めた安定的な海上輸送の確保や、ホルムズ海峡の代替ルートとなるパイプラインの建設支援も挙げられています。

3. 石油関連製品の生産設備の対応

  • 性質の異なる原油にも対応できる製油所の設備
  • 不純物の除去が必要なナフサや、ブタン・プロパンなどナフサ以外の原料にも対応したナフサ分解炉の新設・更新

こうした設備への支援を進めるとしています。

4. 川中製品の供給体制の強化

安定供給に懸念が生じる可能性のある化学製品の供給体制を強くするとしています。再生プラスチック由来の製品の供給を広げるため、「将来の再生材利用」の制度と、設備投資・初期需要の創出の支援を一体で進めるとしています。再生資源の取り組みは、環境省のGX加速策の解説で取り上げています。

アジアとの連携

資料は、「POWERR Asia」を通じて、日本が産油国とアジア諸国の結節点になるとしています。アジアの国々との備蓄協力の拡大や、ホルムズ海峡の代替ルートの建設へのファイナンス支援などが挙げられています。

企業が押さえておきたいポイント

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

今回の混乱は、燃料を使う企業だけでなく、樹脂や化学製品を原材料として使う企業にも影響しました。自社の製品や梱包材、部材がナフサ由来の素材にどれだけ頼っているかを把握し、代わりの調達先や再生材の利用を検討しておくと、次の混乱に備えやすくなります。

また、燃料を使う設備を電化したり省エネを進めたりすることは、化石燃料への依存を減らし、価格や供給の変動を受けにくくすることにもつながります。国全体のエネルギー自給率の考え方は、エネルギー自給率と資源の確保策の解説で紹介しています。

まとめ

  • 原油はホルムズ海峡の内側の産油国からの調達が9割超、ナフサも約5割がホルムズ経由
  • ナフサが石油備蓄の対象外だったことなどから、石油化学製品で供給の目詰まりが起きた
  • 原油の国家備蓄でナフサの利用分を確保し、調達先の多角化、設備対応、川中製品の供給体制の強化を一体で進める
  • 企業は、ナフサ由来の素材への依存を点検し、再生材や代替調達も検討しておきたい

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q日本の原油はどれだけホルムズ海峡に頼っていますか?
A

パワーGXの資料によると、ホルムズ海峡の内側に油田を持つ国からの調達が9割超です。ナフサも、ホルムズ依存度の高い原油から精製したものを含めると、約5割がホルムズ海峡経由の調達とされています。

Qなぜナフサ由来の製品に供給の混乱が起きたのですか?
A

資料は、ナフサが石油備蓄の対象になっていないことなどにより、ナフサ由来の石油化学製品で供給の偏りや流通の目詰まりが起きたとしています。今後は原油の国家備蓄制度を活用し、ナフサの国内精製分も含めて原油の備蓄を確保するとしています。

Qナフサはどんな製品に使われていますか?
A

ナフサからつくられるエチレンやプロピレンなどの基礎化学品を経て、ポリエチレン、ポリプロピレン、合成ゴム、ポリエステル繊維などになり、プラスチック製品、ゴム製品、電子部品、塗料・接着剤、繊維製品など幅広い製品に使われています。

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