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次世代電力ネットワークと電力システム改革|系統増強・蓄電池・DRと電気料金

第7次エネルギー基本計画は、地域間連系線の増強、蓄電池やDRによる調整力の確保、電力システム改革の見直しを掲げています。送電網と電力市場がどう変わるのか、電気料金や企業の電力調達にどう関わるのかを整理しました。

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丘の上に並ぶ大型の蓄電池コンテナと変電所、送電鉄塔が川沿いの都市へ光の線で電気を送る様子。空には蓄電池やネットワークを示す半透明のデータ表示が浮かぶ
目次

再エネを増やし、増える電力需要に応えるには、発電所だけでなく、電気を運ぶ送電網と、電気を取引する仕組みも変える必要があります。第7次エネルギー基本計画は、「次世代電力ネットワークの構築」と「電力システム改革」に多くのページを割いています。この記事では、GX LAB 編集部が、その要点と企業への関わりを整理します。

計画全体の流れは、第7次エネルギー基本計画の全体像で解説しています。

この記事でわかること

  • 地域間連系線など、送電網の増強の計画
  • 蓄電池・DR・揚水による調整力の確保
  • 電力システム改革の成果と課題、これからの方向性
  • 電気料金や企業の電力調達への関わり

送電網(系統)の増強

地域間連系線を8倍以上に

地域をまたいで電気を送る地域間連系線は、広域連系系統のマスタープランをもとに整備を進めるとしています。北海道・本州間の海底直流送電や、中国九州間の関門連系線などを含め、今後10年間程度で、過去10年間(約120万 kW)の8倍以上の規模(1,000万 kW 以上)の整備を目指しています。

整備の費用は、再エネ賦課金や全国の託送料金などを通じて負担する仕組みが導入されています。巨額の投資が必要になるため、資金調達の課題に対応する制度的な措置も検討するとしています。

大規模な需要の立地に合わせた整備

データセンターなどの新しい大規模需要に、早く確実に電気を届けることも課題に挙げられています。

  • 一般送配電事業者が、早く電力供給を始められる場所を示した「ウェルカムゾーンマップ」で立地を誘導する
  • 適地で、先回りして計画的に系統を整備する仕組みを検討する
  • 整備費用が大きくなった場合の費用負担のあり方を検討する

調整力の確保

需給調整市場と「同時市場」

電気は、使う量とつくる量を常に一致させる必要があります。そのための「調整力」を市場で調達する需給調整市場が2021年度に創設され、2024年度から全商品の市場取引が始まりました。さらに、供給力と調整力を同時に約定させる「同時市場」の導入に向けて、本格的に検討を深めるとしています。需給調整市場の仕組みは、需給調整市場の解説で紹介しています。

蓄電池・DR・揚水

  • 蓄電池:再エネの電気を蓄えて夕方のピーク時などに供給でき、応答の速い調整電源になる。2021年度から補助金で系統用蓄電池の導入を支援し、長期脱炭素電源オークションでも応札対象にしている
  • DR(ディマンドリスポンス):需要側で電気の使い方を調整して、需給のバランスをとる手段。DR に対応する機能を備えた製品の導入を製造事業者に求める仕組みなどを検討する
  • 揚水発電:電気を水の位置エネルギーとして蓄え、短い時間で周波数の変動を調整できる電源として、重要性が増している

計画は、系統用蓄電池について、接続検討の受付件数が増えている一方、価格競争で安全性が損なわれる懸念や、系統接続の長期化などの課題も出ているとしています。系統用蓄電池の役割は、系統用蓄電池の解説で取り上げています。

電力システム改革:成果と課題

これまでの成果

電力システム改革は、安定供給の確保、料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大をねらいに進められてきました。計画は、広域融通の仕組みの構築、小売の自由化による価格の抑制、事業機会の創出などで一定の進捗があったとしています。全面自由化以降、新電力のシェアは2割程度に達しました。

直面している課題

一方で、次のような課題に直面しているとしています。

  • 電力需要の増加が見込まれる中での供給力の確保
  • 国際的な燃料価格の急騰などによる電気料金の高騰
  • 市場環境が厳しい局面で小売電気事業者の撤退が相次ぎ、需要家が意図しない契約解除や、特別高圧・高圧の最終保障供給への移行が起きた

これからの方向性

計画は、これからの電力システムが目指す方向性として、次の3つを挙げています。

  • 国際情勢の変化や需要の増加に対応できる、安定的な電力供給の実現
  • 電力システムの脱炭素化の推進
  • 価格への影響を抑えながら、需要家に安定的な価格水準で電力を供給できる環境の整備

具体的には、脱炭素電源への投資を進めるための市場・事業環境・資金調達環境の整備、小売電気事業者に安定的な事業を求める規律、長期の相対取引や先物市場などの取引制度の拡充・再整備などを検討するとしています。電気の使用量などを細かく測れる第二世代スマートメーターを、2030年代の早い時期までに、原則すべての需要家に導入するとしています。

企業にとってのポイント

ここからは GX LAB 編集部の見立てです。

送電網の増強や調整力の確保には大きな費用がかかり、その一部は託送料金などを通じて電気料金に反映されます。電気料金の内訳がどう変わっていくかを把握しておくと、コストの見通しを立てやすくなります。料金の仕組みは法人の電気料金の考え方で整理しています。

また、小売電気事業者の撤退で最終保障供給に移った経験から、電力会社を選ぶときは、価格だけでなく、事業の安定性や電源の調達のしかたも確認しておくことが大切だと考えられます。

まとめ

  • 地域間連系線は、今後10年間程度で過去10年間の8倍以上(1,000万 kW 以上)の整備を目指す
  • 需給調整市場の運用改善と「同時市場」の検討、蓄電池・DR・揚水で調整力を確保する
  • 電力システム改革は一定の成果の一方、供給力の確保や電気料金の高騰などの課題に直面している
  • 安定供給、脱炭素化、安定的な価格水準の3つを目指して制度の見直しが進む

出典・参考

※ 本記事は編集部が投稿した当時の情報に基づきます。制度の内容は変更される場合があります。最新の情報は各省庁の公式ページをご確認ください。

よくある質問

Q地域間連系線はどのくらい増強されますか?
A

今後10年間程度で、過去10年間(約120万kW)の8倍以上の規模(1,000万kW以上)の整備を目指すとしています。北海道・本州間の海底直流送電や関門連系線などが含まれます。

Q同時市場とは何ですか?
A

電気をつくる供給力と、需給のバランスをとる調整力を同時に約定させる市場の仕組みです。系統の制約も考慮して、調整力の調達と電源の運用を最適化することをねらいとしており、計画では導入に向けて本格的に検討を深めるとしています。

Q電力システム改革は電気料金にどう関わりますか?
A

計画は、小売自由化による価格の抑制などの成果があった一方、燃料価格の急騰などによる電気料金の高騰に直面したとしています。今後は、需要家に安定的な価格水準で電力を供給できる環境の整備を目指し、小売電気事業者の規律や取引制度の見直しを検討するとしています。

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