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需給調整市場とは?系統用蓄電池が本命とされる理由

需給調整市場は、一般送配電事業者が「調整力」を調達する市場です。需給バランスと周波数の関係、ゲートクローズを境に担当が入れ替わる仕組み、一次から三次までの商品区分と開設時期を追いながら、この市場が蓄電池の本命と言われる理由を見ていきます。

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需給調整市場とは?系統用蓄電池が本命とされる理由のイメージ図
目次

系統用蓄電池の本命とされる市場が、需給調整市場です。素早く出力を変えられるという蓄電池の性質が、そのまま商品になる市場だからです。

6回目はここを扱います。3つの市場の関係は系統用蓄電池の収益源となる3つの市場をご覧ください。

この記事でわかること

  • 需給バランスと周波数の関係
  • ゲートクローズの前後で、誰が需給を合わせているのか
  • 「調整力」という言葉が指しているもの
  • 一次から三次までの商品区分と、取引が始まった時期

需給バランスと周波数

前提から確認します。

電気は大量に貯めることが難しいため、需要(電気の使用量)と供給(発電する量)を常時バランスさせておく必要があります。崩れると周波数が変動します。

そこで一般送配電事業者は、需要や太陽光・風力の発電出力の変動に合わせて、火力発電・水力発電・揚水発電や蓄電池、デマンドレスポンス(需要側で電気の使い方を調整すること)などの出力を動かし、需給バランスを保っています。

ここで面白いのが蓄電池の立ち位置です。需要側には工場や家庭での電気の使用、そして蓄電池の充電や揚水発電のポンプアップが並びます。発電側には火力発電所や太陽光発電、蓄電池の放電や揚水発電が並びます。蓄電池は需要側にも発電側にも立てる。他の設備にはない性質です。

ゲートクローズの前と後

需給を一致させる役割は、時間帯によって担当が変わります。

発電事業者と小売電気事業者は、計画値同時同量制度のもとで30分単位の計画と実績を一致させます。インバランス(計画と実績のズレ)を出さないよう、ゲートクローズ(GC)までに発電計画と需要計画を調整するわけです。

用語注意。ゲートクローズ(GC)は、発電計画・需要計画を確定させる締切のこと。資料では実需給1時間前以下、GC の前後で役割が分担されると説明されています。

GC を過ぎたあとに残るズレは、一般送配電事業者が引き受けます。資料が挙げているのは次のものです。

  • GC 後に残った誤差といった、30分より短い時間内における需要と供給の変動
  • 需要予測差(GC から実需給まで)
  • 時間内変動(需要・再エネ)
  • 電源脱落(発電所の急なトラブル)
  • FIT特例制度①・③により想定された、前日から GC までの再エネ出力予測誤差

そして、GC 後に発生する需給差を解消するために使われる供給力が「調整力」です。電力系統の周波数維持と安定供給を担う機能、と資料では位置づけられています。

この調整力を一般送配電事業者が調達する場が需給調整市場です。全国で必要となる供給力(ΔkW価値)を取引する市場で、前日の15時までに約定処理が行われます。

5つの商品区分

需給調整市場の商品は、調整リクエストに対する応動の速さと、継続可能時間で区分されています。

  • 一次調整力
  • 二次調整力①
  • 二次調整力②
  • 三次調整力①
  • 三次調整力②

取引の開始時期は段階的でした。資料によれば、三次調整力②が2021年4月、三次調整力①が2022年4月、一次調整力・二次調整力①・二次調整力②が2024年4月に取引開始で、2024年よりすべての区分で取引が開始されています。

蓄電池がどこを狙うかについて、資料には「一次調整力および三次調整力②などの市場での取引を見込む」と注記があります。速く応答できることが求められる一次調整力は、蓄電池の得意分野です。

商品になるのは出力の側だと考えると分かりやすくなります。たとえば PCS 19.96MW というモデルケースなら、この 19.96MW をどれだけ速く、どれだけの時間上下させられるかが値段のつく対象です。もう少し小さい高圧の 1.99MW クラスでも考え方は同じで、変わるのは規模だけです。

取引の流れと、報酬の出どころ

需給調整市場での動きは次のように進みます。

  1. アグリゲーターが一般送配電事業者へ入札する
  2. 一般送配電事業者から指令が下りる
  3. アグリゲーターが蓄電池を制御する
  4. 蓄電池からアグリゲーターへ、アグリゲーターから一般送配電事業者へ応動報告が返る
  5. 報酬が支払われる

資料には、指令・応動報告および報酬の支払いは属地の一般送配電事業者が実施する、という注記があります。案件がどのエリアにあるかが、取引の相手が誰になるかにそのまま関わります。

日々の入札と制御はアグリゲーターの業務です。オーナーが自分で市場を見て入札するわけではありません。

本命と言われる理由

3つの市場を並べると、蓄電池の立ち位置がはっきりします。

卸電力市場では、蓄電池は買った電気を売る形になるので主力になりにくく、資料の電源比較でも△。容量市場は○ですが、年12回の発電指令に応じる形で、設備が常に動いているわけではありません。

需給調整市場が求めているのは、発電量ではなく反応の速さです。火力発電のように燃料を燃やして出力を上げる必要がなく、瞬時に充放電を切り替えられる蓄電池は、この要求にそのまま応えられます。資料の電源比較で火力(石炭)と原子力が×とされ、蓄電池が○とされているのは、この差です。

再エネが増えるほど、GC 後に埋めるべきズレは大きくなります。調整力の必要量が増えていく方向にあること。それが、系統用蓄電池が注目されている理由の芯にあたります。

ここまでの要点

  • 電気は需要と供給を常時一致させる必要があり、崩れると周波数が変動する
  • GC までは発電事業者・小売電気事業者、GC 後は一般送配電事業者が需給を合わせる
  • GC 後のズレを埋める供給力が「調整力」で、それを調達する場が需給調整市場
  • 商品は応動の速さと継続時間で5区分。2024年よりすべての区分で取引が始まっている
  • 蓄電池は反応の速さで評価されるので、この市場が本命とされる

実際の案件で想定運転パターンや制御・EMS の体制がどう書かれているかは、GX LAB の系統用蓄電池の案件情報で確認できます。


※ この記事は Fit Founder の投資家向け説明資料(2026年2月時点)をもとに書いています。市場の制度・商品区分は変更されることがあります。本文中の PCS 19.96MW・1.99MW は、説明のために置いた架空のモデルケースの数字で、実在の案件ではありません。

よくある質問

Q需給バランスが崩れると何が起きますか?
A

周波数が変動します。電気は大量に貯めておくことが難しいため、需要(使う量)と供給(つくる量)を常時一致させておく必要があり、崩れると周波数が乱れます。そこで一般送配電事業者が、需要や太陽光・風力の出力の変動に合わせて、火力・水力・揚水発電や蓄電池、デマンドレスポンスなどの出力を調整しています。

Qゲートクローズ(GC)とは何ですか?
A

発電計画・需要計画を確定させる締切のことです。GC までは発電事業者と小売電気事業者が計画値同時同量制度のもとで30分単位の計画と実績を合わせ、GC 後に残った誤差や30分より短い時間内の変動は一般送配電事業者が調整力で埋めます。この切り替わりが、需給調整市場という市場が存在する理由そのものです。

Q商品区分はどう分かれていますか?
A

調整リクエストに対する応動の速さと継続可能時間に応じて、一次調整力、二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②に分かれます。速く応答できるものほど上位の区分です。

Qすべての区分で取引が始まっているのですか?
A

始まっています。Fit Founder の資料では、三次調整力②が2021年4月、三次調整力①が2022年4月、一次調整力・二次調整力①・二次調整力②が2024年4月に取引開始とされており、2024年よりすべての区分で取引が開始されていると記載されています。

Q蓄電池はどの区分を狙うのですか?
A

資料には「一次調整力および三次調整力②などの市場での取引を見込む」と記載されています。ただし実際にどこを主軸に置くかは案件ごとの設計によるので、案件資料の想定運転パターンと合わせて読んでください。

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